Blue: Ooh Baby

Last Updated: Apr.4,09; Open: Mar.17,06
このページでは,AB'Sが2007年にリリースしたアルバム「Blue」のOoh Babyでのおかもっちのプレイを見ていきます。

Ooh Baby

Kane TOMINAGA/ Fujimaru YOSHINO

Key: E
fill in[1]-Intro(1)[8]-Intro(2)[8]-1番 A[8]-A'[8]-B(サビ)[8]-B'[8]-プチ間奏(1)[8]-2番 A[8]-A'[8]-B(サビ)[8]-B'[8]-プチ間奏(2)[8]-間奏:Guitar Solo(1)[8]-Guitar Solo(2)[8]-Coda:B[8]-B'[8]-Ending including Chorus[8]x3 &fade out

Sound

AB'S 25周年記念盤(といっても完全オリジナル盤)1曲目を飾る「芳野藤丸」のナンバー。日本を誇る2名のセッション・ギタリストを贅沢に配したバンドが選んだイントロは,デジタルエレピの音色を生かした軽快なバッキングと,それに下からスペースを生かして低音を支えるベースをメインにし,あくまでオカズ的に細かい単音カッティングと乾いた音色のギターで絡んでいくというスペース重視のアレンジ。ただし,音域的に高めのギターがシンブルでも効果音的にも目立つよう,他の楽器の音域を絶妙に抑えてあります。

Aメロ部では,厚い音色は一切選ばず,軽やかな音を軽やかな数で組み合わせることで,ボーカルの声を生かしています。厚みをつける役割は,サビ部での音域バランスを考えた包み込むような音色のストリングスとコーラスのみ。ただし!この曲の目玉のもうひとつがギターソロ。歌部では低音と高音に分かれて,ボーカルと音域バランスが被らないようにしておいて,ソロ部で一気に前に出てきます。歪ませた音色がおしゃれなフュージョンAORではなく,あくまで「ロック」だと主張するかのようで(笑),このギターを活かすために,単音組み合わせ的な薄めのサウンド(だけど緻密)なアレンジにしているんだな,と改めて納得させられます。しかも,5人でライブをやることを前提に作ってありますよね。だからこそすべての楽器の使う音を精選しつくした感があります。

UP

Drum Performance

Fill in-Intro.(1)
力を程よく抜いたフィル・インでスタート。1曲目の最初でこの力の抜き具合ってところがいかにもおかもっち。^^ これを合図に演奏を始めるんだから,きっと他のパートの方々もこの抜き具合にシビれながらも,ゆったりした気分で音入れできたことでしょう。(<妄想)
このゆったり感は,このテンポの良さからも来てます。このあとのNIGHT VIEWに比べるとAB'Sの中ではそれなりにアップテンポの曲なんですが(8ビートだし),妙に心地よいですね。
フィル・イン後は,ウッド・フープの音色(だと思う)を生かしたサイドスティック,タイトに刻んだハイハットに,音数を減らしつつも絶妙にエレピのバッキングのシンコペーション箇所のアクセント箇所にバスドラやハイハット・オープンを合わせてたりして(ハイハットのオープンは,最初は2小節目の3拍目直前・3小節目のラスト(4小節目の直前)・5小節目の最後(6小節目の直前)・6小節目の最後(7小節目の直前)・・・に入ってる。。。)),毎回同じパターンで合わせないよう粋に叩いてます。^^ 7小節目の最後は,多分,8小節目がアタマからギターが入ってくるのでオープンにはしてないのでしょか。偶然みたいにも思えますけど,おかもっちは割合こういうところでさりげなくハイハットを抜くパターンが多いんですよね。単音構成のアレンジでのドラムの見本のようなプレイです。Intro(2)への繋ぎもこのリズムのまま,途中にフラムを1発入れてアクセントはつけつつも,その後またバスドラを入れることで,逆に「さらっと軽く流してます」という感じにしてます。^^
Intro(2)
サイドスティックからオープン・リム・ショットに変わります。スナッピーの響きが心地よいです。叩くフレーズは割合シンプルですが,バスドラの他の楽器との合わせ方がアバウトなのか計算尽くされているのか読み切れないものの(笑),合わせ過ぎないけれども味付けとしてはアクセントの欲しいところにちゃんと来る・・・という感じで,ほんとによいです。最後のフィルはバスドラとスネアにフロアタム(かな?)を組み合わせてあとはハイハット・オープンで繋げるだけの超シンプルワザですが,曲の雰囲気を活かしつつ,1番の1拍目が歌がまだ入らないため,そこで更にハットで対応することでまさに「繋ぎ」(フィル)に徹する感じです。
1番A/A'
Aメロでのドラムの基本は4小節をひとまとまりにした構成。最初の2小節はバスドラが比較的シンプルで,後ろの2小節は藤丸さんの歌のリズムに何気に合わせてます。AからA'への繋ぎにはロータムかフロアを一発入れて,A'の最初はJazz Masterの方のチャイナ(多分。。。わからんけど)を入れてふんわりしたアクセントづけをしてます。Bに移行する前は,シンコペーション箇所でしっかりシンバルでアクセントを入れてめりはりつけてますが,そのあとのタムはやっぱり流す感じで,あくまで淡々とタイム・キープしつつ8ビートのノリをそのまま大事に繋げていく感じです。
1番B/B'(サビ)部
ここではバスドラがベースと合わせてあります。だいたいAB'Sというのは,平凡なベースのフレーズが来るということはまずないわけですが(笑),この曲のこの箇所もそう。バックコーラスがずーっと入って,バスドラとベースが,♪・・ ♪♪・・♪| ♪・・♪♪・・♪(「・」は休符の代わり)というパターンで,カッティング・ギターが,この2小節パターンの2小節目は後半お休みっていう,なんつー入れ方してくれるのよ〜っていう感じの入れ方のわけですが,これをプッシュしているのが,ここまでもずっと続けてきている「1・2・3・4拍目にアクセントを入れたかなりタイトなハイハットと軽快なスネア」です。BとB'の繋ぎのフィルも,ここでもリラックスした感じの力を抜いた流し系タムで8ビートのリズムのまま。あとは, 4小節ごとの最後にハイハットがオープンになるだけというフィル(っていっていいのかな?)が入ってます。
ところでこのベースとバスドラの合わせワザですが,聞いていて非常に快適なのは,やっぱりバスドラの音質がタイトでかつ芯があるからだと思います。いわゆるベースのアタック音をバスドラがドンピシャなタイミングでサポートしながら,タイトな音質でヘンな空気音を残さないので,直樹さんのベースの音の伸ばした部分の響きがより快適に聞こえるのではないかと思います。最後のフィルは,基本スタイルは変わりませんが,1小節フルに贅沢(?)に使うことで,1番の締めをきっちり演出。
プチ間奏(1)
イントロ(1)と同じフレーズに戻ります。サビ部の音が厚かったため,同じドラムのフレーズでも,俄然バスドラやハイハット・オープンが映えて来ます。ここの箇所,2・ 4小節目の最後をオープンにしていて,そのまま5・6・7小節目それぞれの最後に全部オープンを入れることで,前半4小節と後半4小節のめりはりをつけてるんですよね。ただし,このオープンはここでは入れたものの,最終小節ではギターとベースの16分音符でのバトンリレーを活かすためにこれまたやっぱり流す程度に留めてます。
2番A/A'
基本的には1番と特に変わりませんが,AからA'に移るところのフィルでスネアを2発入れてます。2発・・・というのがミソで,A'に移行する直前(要するに4拍目のウラ)は空けるんですよね(ハイハット・オープンで繋げている)。おかもっちは音の抜き方が本当にうまいと思います。これ,1番ではフロア (かな?)が1発入ってるだけなのですが,これが既にこの前振りになってるわけですよね。この2発が映えるように,ちゃんと1番ではものすごくジミにしてあった(フレーズも使うタイコの種類も)・・・ということです。^^ (<決めつけ) このワザをA'メロの最後でもっかい使ってここの箇所を締めてます。ただし最後はハイハット・オープンではなくバスドラ。
2番B/B'(サビ)
ここも基本的には1番B/B'部と変わらず。ただし,B'の最後のフィルの前の小節で,「次のプチ間奏の次はソロが来るよ!」という合図のようなシンバルが4拍目に入ります。こういうシンバルを聞くと,これまた「うーん,おかもっち!」という感じがします。(笑) 最後のフィルでもハイハットをペダルで鳴らして音の途切れを防いでます。
プチ間奏(2)
ここでは,1・3・4・5・6小節目の最後にハイハットが入ってます。(爆) フィルが入る7小節目の最後は別として,前半4小節の中で何故今回はハイハット・オープンをなくしたのが2小節目なのでしょう? ここのハイハットの,前半はギターのシンコペに合わせて後半は毎回・・・というパターンは,おかもっちのプレイとしてはオーソドックスな類かも。で,ギター・ソロが弱起でこの箇所の4拍目から入ってくるので,締めはフラム2発で他の楽器の音のジャマをしないように配慮しつつアクセントをつけてます。ここまででおかもっちはフラムを殆ど使わずタム流しをメインにを使ってたので,これだけで十分アクセント付けになります。
間奏(ギター・ソロ)
右はライド。ギター・ソロの交替部では,これまたギターをジャマしないように,音域の高いチャイナ・シンバル連打(しかもギターのリズムに合わせてる)でアクセントを付けてます。(こんだけってのがすごい。。。) 最後はギターのリズムに合わせてはいるものの,やっぱりシンプルにしてあります。最後は「タトン!」のリラックス・フィル。
ソロ後のB/B'メロ-Ending
Codaに入りますが,ドラムはそのまま淡々と進みます。ギター・ソロが絡むところの寸前のフィルは,1小節フルに使って,タム流しにスネアのフラムを絡めてアクセントをつけてます。この後,ギター・ソロ部から入るライドは,間奏では1・2・3・4拍目にアクセントをしっかり入れてましたが,ここではウラも結構大きめに入ってるように思います。これがまたミソで(笑),Fade outに近い箇所で,初めて16ビートのフィルが出てくるわけですが(ただ,これも4拍目には既に8ビートパターンに戻るので,ちょっと「はっとする」程度のフィルになっている),このフィルの前振りのような感じで,ライドが一発,かなり強くアクセントを効かせて入ってるんですよね。間奏よりもウラ部での音もしっかりライドを鳴らすことで,このアクセント付けが不自然な感じにしないまま,うまく映えさせてます。ここでこれがあって,次にまた元のライドに一旦戻したか・・・と思ったら16ビートの短いフィルが入る・・・という構成のうまさが,これまたおかもっちらしいと思うのです。^^

UP

Something Extra

予告どおり(?)諸岡さんのライブの打ち上げ時で話題になった「最適テンポ」を考えながら聴いてみました。実は,最初に聴いたときは特に意識しなかったんですが,次の曲(Night View)になって,「あれ?」っと思ったんですね。 Night Viewのほうがシンバルばんばん(しゃんしゃんというべきか)でハードなんですけど,かなりテンポが遅いんですよね。AB'Sの1曲目は,結構インパクトのある曲が多いんですが,この曲は割合さらっとしてるんです。でも,それがこのテンポのせいなんですよね。このアレンジなら確かにこのテンポがベストな感じがします。(遅いと多分バッキング・ピアノのキレやギターの単音やスネアのシャープさが損なわれて,違う感じの曲になりそう。速いと味が出ないでしょうし。) とにかく聞けば聞くほど絶妙なテンポだな〜と思い知らされる感じです。

ところで,ドラムについてですが,冒頭がサイドスティックだったので,スティックを普段と逆向きに持っているのではないかと思うのですが(ショルダー部分を持ってグリップ部分で叩く・ジェフもTOTOのI'll Be Over You PVではそうやってる),この持ち方だと,フツーの持ち方に比べるとリム音のインパクトが少し小さくなって,その代わりに,スティックのヘッドにあたるインパクトが多分強くなるので,スナッピーが普段よりも響いている・・・なんてことはあり得るのでしょうか? あんまりいい加減なことを書いていてはいけませんが(笑),ともあれ,スネアの音に芯があってするどいのに重さもあって,他の楽器との音質バランスもいい感じです。

それにしても,藤丸さんの声はほんとにいいですね。オトナのロックといえば,Boz ScaggsやRobert Palmer,James Taylorなどがいますけど,藤丸さんのいいところは,ちょっとテレ系のぶっきらぼうさも加わっている点です。某ご友人が「マダム・キラー」と呼んでらっしゃいましたが,マドモアゼルの頃から私はノックアウトされてました♪ 逆に,他の人のちょっとオトナっぽい曲を聴くと,藤丸さんに歌って欲しくなります。^^

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