The Baked Potato Super Live!/ Greg Mathieson Project
Last Updated: Apr.1,09
このページでは,ジェフが参加したセッション・ライブ盤として絶大な人気を誇るThe Baked Potato Super Live! (Greg Mathieson Project)でのプレイを見ていきます。
Introduction: I Don't Know
ライブといってもレコーディングしてますので,それなりにリハでは練り込んであります。それでも,その場で対応することもいろいろあることでしょう。
このコーナーでは,ジェフの名演と名高いThe Baked Potato Super Live!から,ベース・ソロの最後で絡むバスドラとスネアの連打で有名な"I Don't Know"にスポットを当て,徹底的にフィルを分析してみました。
このアルバム,ご当人は「思い出したくもない雑でひどい演奏」(Greg Mathieson Project. 1999. The Baked Potato Super Live! ライナーノーツ. Cool Sound. Tokyoより引用)とのたまったようですが,実際,プレイがところどころで粗いです。^^; しかし!そんなのライブなんだから気にしてはいけません。むしろ,その場のノリ,その場の雰囲気,その場のジェフ自身の高揚感が,そういうところからも感じられ,それはそれでファンには嬉しいもの。(もちろん程度によりますけど,このアルバムについてはそんなのを軽く上回るだけのクオリティがあります!)でも,そういった粗さも含めて(笑)見ていきます。^^ いいの,なんでも,もう,ジェフなら。^^v
Players
- Keyboards: Greg Mathieson (ハモンド B-3, ミニ・モーグ)
- Guitar: Steve Lukather
- Drums: Jeff Porcaro
- Bass: Robert "Pops" Popwell
"I Don't Know" (殆ど)すべてのフィル解説
- 0:09
- オルガン・ソロで始まるプレ・イントロで最初に入るフィル。単にスネアを2発叩いてるだけですが,タメが効いてますよね。
- 0:17
- プレ・イントロの最後のフィルは,完全にオルガンのフレーズと合わせてます。ただし,ダイナミクスを効かせてます。
- 0:37
- イントロはバスドラで変化をつけるくらいでしたが,ここのフィルもタメをつけてスネア2発で締め。基本的には出だしと同じですが,このスネア2発がこの曲のフィルのポイント。つまり,16ビートの最後の2発しか叩かない=その前にスペースを空ける,ということになります。
- 0:55
- 多少雑です(爆)。これまで空けていたスペースにハイタムでパラパラっとオカズを入れてます。他の楽器がお休みなので,いいアクセントになってます。
- 1:02
- キーボードがAメロの繰り返し部に入り,1オクターブ上げたもののフレーズ自体は同じ・・・というところで,何気にジェフの32分2連打のバスドラが入って,聴いてて「はっ!」とします。これ,うまい味付けですよねえ。^^
- 1:06
- ここは,ベースと前半だけリズムが合わせてあります。が!その後ベースとずらしてスネア1打で締めてます。
- 1:15
- 先ほど(0:55)はドラムがハイタムで繋げましたが,ここではベースが結構高い音で繋げてます。ドラムはスペースを入れた後,「タタン」とスネアで締めてます。
- 1:34
- ここはたっぷりスペースを空けてます。この前がちょうどギター・ソロ。そしてこの後が再びキーボードに戻ります。この曲の構成はA-A'-B-Aで,B部がギターになりますが,ギターでちょっと盛り上がったところを一旦クールダウンさせるような効果があります。
- 1:45
- 前半はスネア,後半はハイハットというフィル構成。ハットのみなので,単にスペースを空けるだけよりは派手ですが,まあその程度。折角クールダウンさせたテンションを余計なフィルで刺激しません。
- 1:55
- ここもベースに任せてドラムはスネア1発で締めるのみ。これからながーいキーボードソロに入るので,まずはしっかりテンションを落とした状態を保ってます。
- 2:16
- いわゆるAメロのバリエーションとしてのソロ箇所で,まだ盛り上がる前の前哨戦。ドラムもキーボードソロの裏でバスドラのパターンを調整するなどしてますが,殆ど流してます。
- 2:35
- 2:16の流しフィルとあまり変わりませんが,ハイハットをオープンにして,次の展開部への導入を演出。展開部の最初のシンバルが続くため,ちょっと派手っぽくなってきた・・かなあ?みたいなカンジになってます。^^
- 2:54
- 2:35のフィル後,スネアのドラッグ(っていうのかな?っていつ学ぶのでしょう,私は・・・^^; )がはっきり聴こえる頻度が高くなりましたが,もうすぐソロ2周り目に突入。どの楽器も休まずそのまま次になだれ込みます。ジェフは前半ハットのオープンを裏に持ってくるフィル,これにベースが最初だけ絡んでます。
- 3:15
- キーボードが3連を入れてきました。これから盛り上がりのクライマックスに突入しますので,ドラムはとにかくサポートサポート!
- 3:24
- ここは完全に事前談合できてますね。(笑)はい,ベースとウラで合わせてます。
- 3:29
- ここまではドラムはスネアとバスドラで味付けしてたんですが,このあたりで,タムに一発飛んでるんですよね。
- 3:34
- ここは音数は抜いてますが,回してきてます。
- 3:43
- ここもウラを合わせてます。こうして聴いてると,キーボードソロがアドリブではなくて事前にそれなりに作り込んであって,ポイントポイントでどうベースとドラムが絡むか,リハでちゃんと打ち合わせてあるのがわかりますね。
- 4:05
- 32分の高速フィルがタムで入ります。長いキーボードソロの最高潮に味付けして更に盛り上げ。
- 4:10
- ここでねえ,タムでフラムを入れてるんですよね。これねえ,すっごくいい味付けになっていると思うのです。キーボードソロが盛り上がり部で高音に行ってますよね? その隙間に中音域で1回だけフラム飛ばすんですよね。ほんと,うまいですよね。
- 4:13
- はい。1拍6連のフィルです。お客さんに「そろそろキーボードソロがまとめに入ります」って合図を出しましたね。16ビートの曲ですが,さっきから32分のおかず,隙間へのフラムを入れてきたドラムが,テンションを調整すべく1・2拍目を6連で回して(つまりタムの音もタタツツトトと低くなる)約1拍分スペースを入れてから,4拍目にフラム一発。
- 4:20
- 弾きまくりからグリッサンドでまとめに入ったキーボードをシンバルで味付けします。もうタムは使いません。
- 4:25
- キーボードソロのグリッサンドの次が16分だったので,16分で呼応してます。もうここで弾くことはないと判断してフィルを入れたのかな?
- 4:34
- ここで再び1拍6連を使いました。これでキーボードソロが終わり。テンション下げの念押しをしつつも,次はベース・ソロが待ってます。だから,観客の気持ちがベースソロにいけるように,最終小節と次の小節のベースソロの始まりを,しっかりアクセントを入れたスネア2発で繋げてます。これもうまいですよねえ。^^
- 4:50
- ベースソロの最初のフレーズは割合大人し目だったので,バスドラでちょっと味付けしましたが,2フレーズ目から音数が増えてきたのでタイム・キープメインに戻って,バスドラも少し減らします。ベースメインに徹するプレイ。
- 5:17
- 3フレーズ目の始めは,最初の2小節(計4回)だけバスドラ32分2連打を絡ませて,観客の注意をそのまま惹きつけ続けてます。
- 5:24
- ベースソロの締めをちょっと小出し。(爆)
- 5:34
- ここは流してます。5:17で見せたバスドラ連打などを既にこの前でも使っているのと,この次がベースソロの「Bメロ部」にあたるので,余計なことはしないで観客と一緒に様子を見る感じになってます。
- 5:55
- 出ました。(笑)はい。ベースとバスドラがカンペキ絡んだ見せ場です。ジェフはドラムソロをやらないドラマー。だから,ジェフの見せ場はここになるわけです。32分でスネア2発バスドラ2発をひたすらくり返すジェフと,モチーフのメロディを32分で弾きまくるベース。ジェフの希望でベーシストがポップウェルになったとライナーノーツにありましたが,このあたりがその醍醐味になるのでしょうか?
- 6:14
- はいはいはい。ベースに合わせて締めに入った後,1拍3連のフィルを使います。なんたって32分でやってたんですから,これはベースソロという異次元(???)でのテンションを断ち切って,次の全楽器が入るBメロに突入するわけです。世界をしっかり変えましょう。^^
- 6:24
- ...といいつつ,32分連打のフィルを興奮の余韻を髣髴とさせるリフレイン効果。でも,逆にこれで本当に余韻も締める結果になります。
- 6:28
- 巧すぎるタム飛びフラムがここでも登場。曲としては,Bメロがサビで,そのBメロがこの箇所で最後ですので,曲全体の締めにかかる前に,ソロではなく,この曲のBメロをきっちり印象付けるように,観客の集中力を逃しません。
- 6:34
- ハットでフツーに締めたあと・・・そう,ここで入れるんですよね,エアポケットを! このスペースで,今度こそ客の興奮がすとんと落ちます。ちゃんと落としてから,最後のAメロの締めに移ります。
- 6:52
- 最後のシンバルは,ハットですかね?スプラッシュ・シンバルですかね? すっごく短いシンバルがシャン!っと入っておしまい。これで,曲が終わった瞬間にエアポケットがまたぽんっと出来るんですよね。見事でございます。だって次は,もしライブがアルバムのとおりに進んだとしたら,バラードになりますからね。