Live: Motto Twin Guitar Session 2006

Last Updated: Mar.14,09; Open: Mar.17,06
田辺モット Twin Guitar Session 京都: Live Spot Rag (Jun.17,08) ライブ・レポート
  • ※セッションなので,曲のタイトルとか全然わかりません。^^ ライブレポート,というタイトルが妥当かどうか・・・。^^
  • 田辺モットさんには,Aboutの項でインタビューしています。プロフィール等も書いてありますのでご参照ください。

Members

メンバー: 永井充男(G,Vo:ex-竜童組・バックスバニー), 西野やすし(G,Vo), 田辺モット(B),CHIEZO(Key),岡本郭男(Ds: from AB'S)

Place

ライブハウスは所変われば・・・。まず,ドリンクだけ頼んだら怪訝な顔をされたため,メニューを調べたら・・・「1Food 1Drink」??? あとで大阪の友人に聞いたら,この制度,関西では一般的なのだそうで,リサーチ不足を反省しました。仕方がないのでピラフを注文。(結局ライブが終わってから全部食べたけど。) そう,この制度は私,初体験でした。さすが味の関西・・・。
開店25周年というこのライブハウス,でかくて赤いチャイナ・テーブルっぽい(回らないけど)丸テーブルは食事しやすく,椅子もわりあいゆったり目。ステージはステージといっていいんだろうか?というくらいの低さ(10cmくらい)で,ミュージシャンの方々との高さの落差はもう殆ど「座ってるか立ってるか」の違いのみ。

ところでこのRAG,単なるライブハウスではなくて,音楽企画制作等もやってる会社。そして,MOTTOさんはここのプロダクションの所属で,Studio RAGの方でベース教室も開いてらっしゃいます。(西野さんもそう。ただし楽器はギター。)

さて,実は今回,もしお許しが出たらスネアの写真を撮らせてもらっちゃおうかな〜と密かにデジカメを持っていった私。(笑) ドラムセットを見たら赤の Pearl で,スネアもウッドリムじゃないじゃん!!!と唖然。実はドラム,遠方での演奏の場合は現地調達が多いらしいのですが,今回もそういうことのよう。考えてみればウッドリムじゃないスネアの音をナマで聞くのは初めて。すっごくうるさいのではないかと思ったのですが(笑),予想に反してドラムの音は普段の AB'Sの時より小さいくらい。私のいた場所のせいでそう感じたのか,ハコのせいなのか,調達したドラムにしっかりミュートが施されていたからか,それとも単に私の気のせいか。(笑)

ドラム情報: RAGのセットで,PEARL。型番不明(笑)。サイズは,タムが12'',13'',16'',バスドラが22''のようです。当日はバスドラのフットペダルとハイハット・シンバル(例の,「上がIstanbulで下がK ZildjianでどっちもBOTTOM用」ってやつですね)は岡本さんご自身のものを使用したそうです。他のシンバルは総てRagのものだとか。(確か,クラッシュが2つ,チャイナが1つ,ライドがひとつで,AB'Sのセッティングよりもチャイナが1つ少なかったと思います。サイズも違ったんじゃないでしょうか?)
・・・フット・ペダル,撮らせてもらえばよかったーーーーー!!!!!(涙)
※後日撮らせて頂きました。^^ おかもっちの機材については,Equipmentのコンテンツをご覧ください。

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Live

サイトのジャンルのところに「FUSION, BLUES, FUNK」とあったので,多分好みとしてはイケるはずと思ってましたが,カンがばっちし当たりました。曲は,西野さんが4曲,永井さんが4曲(うちいずれも2曲がインスト),あとはモットさんのオリジナルやカバーのようでした。

曲順も曲のタイトルも曲自体も殆ど覚えていないので(おいおい!),だいたいの印象だけ ^^;

まず,西野さん(G)の曲はバリバリのブルースが殆ど。しかし,ギターの入れ方がなんともラフでぶっとんでまして,非常にカッコいいんですよ。大胆というかなんというか。3コードしか弾かないとか言ってる割には妙なコードにも対応してまして(笑), ソロも大胆なカッティングを絡めながらでパフォーマンス的にも非常にカッコよかったです。ただ,1回アドリブで弾きまくり過ぎて,途中キーボードに移る所も弾いちゃって,モットさんとCHIEZOさんが「どうしよう?」と顔を見合わせてました。(笑) キャラも面白ければトークも面白いしもちろんメインのギターも面白いというとってもおいしい方で,永井さんがメインで弾いてるときのバッキングの入れ方も結構個性的でした。(コードさえあってればバッキングのパターンくらい好きにやらせてくれぃ!というような感じのバッキング。(笑))
余談ですが,西野さんの位置と私の座席が殆ど真向かい・・・お願い,私にブルースのこの曲知ってるかって聞かないで〜〜〜!(笑)<ブルース全然知らない。今回の座席,真ん中の中央よりちょっと左という好位置だったので,ミュージシャンの方々が非常によく見えました・・・ただしおかもっち除く!(く〜〜〜!)

一方の永井さん(G)の曲は,フュージョン・ロックといった感じで,16ビートやシャッフル系が中心。ギターについてもこれまた個性的。ソロだけでなくバッキングでもスチール製のボトルネックを使ってメインのギターに絡めてくるんです。西野さんのアグレッシヴでキレのあるギターと対照的なメロ〜な感じで(永井さんご自身がそもそもダンディで穏やかそう),ソロもどちらかといえばシブアマ系(要するにシブいけどどこかメロ〜(笑)。音作りもそんな感じ)。あと自分の楽曲については,ソロを回す場合も,ソリスト自身にも観客にも次のソロが誰かよくわかるようにしっかりアピールして,コンダクターのようなこともしてました。責任感が強いか完璧主義かバンマス経験が長いかのどれかでしょう。(笑) MCのときにマイクを使わずに対応して,MOTTOさんに「マイク使ってくださいよ」としょっちゅうツッコまれてました。

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キーボードのCHIEZOさん(Key)は紅一点。あいにく,キーボードのセッティングが横向きで,正面向きになってたRoland 以外の機材がチェックできませんでしたが(涙),このRolandを使ったオルガン・プレイが結構大胆でカッコよかったです。対照的にエレピのソロはキメ細やかなフレーズ満載。シンセは割合存在感のある個性的な音色を選んでました。

さて,今回の主役のMOTTOさん(B)のベースは,実はかなりシブ目。(笑) 西野・永井コンビの曲については,楽譜に従って弾いているのだからさほど勝手な演奏はできないのでしょうが,とにかく"Twin Guitar Session"として呼んだこの二人のギタリストをしっかりメインに据えて,ギターが二人とも中音域を取ってくる中,しっかり低音域を支えて派手なことは殆どしません。ソロ部を聴いても,そもそもシブ好みなのではないかという感じがしました。フレーズの取り方とか,音質とか・・・。実はHarrietは,河内淳貴さんのサイトで,桑名正博さんのツアーのリハの打ち上げ(!)の様子のページでMOTTOさんのお顔を拝見したとき,結構カルそうな人だと思ったのですが(<めちゃくちゃ失礼!(爆)),実際はとても真面目な好青年(?)といった雰囲気(キャップを被ってめがねをかけてたので,ほんとにそんな感じだった。スリムなのでおじさんっぽくない)。MOTTOさんのベースは,おかもっちと息が合ってるだけでなくて,おかもっちのドラムのカッコよさを際立たせるような感じもあって(直樹さんとのコンビネーションとは全く違う),ここのリズム・セクションも非常に面白いと思いました。The Triple Xでナマで見たみたいものです。

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そしておかもっち(Ds)。もともと「全13曲中8曲デモが送られてきていただけで,あとは当日,通しで合わせたのは全部1回(要するに通し練習=リハ・・・終わり方もここで決める・・・ということですよねえ(笑))」という楽譜を見ながらの演奏。他のパートはともかく,ドラムが間違えると曲がおかしくなってしまうので,当然真剣そのものですが,そのわりには大胆にフィルを入れて(手の振りがでかい),特にソロに繋げるところではしっかりアクセントを入れて「ソロを取る人が変わるよ」という合図になってました。今回はドラム・ソロを配した曲が1曲と,おそらくその場で西野さんが振って急遽入れることになったソロがもう1曲。他の楽器が入らない完全なソロで,めっちゃカッコよかったです!!! (これだけでも行った甲斐があった!?)

おかもっちのドラムが面白かったのは特に永井さんの曲。この方の曲はリズムのパターンが1曲中でも多彩で,楽譜を目で追いながら叩くおかもっちの表情も特に真剣(いや,別に西野さんのときは真剣じゃないというわけではないんですが(笑))。AメロとBメロとCメロとでそれぞれドラムのパターンが全部違ってて,しかも全部AB'S並みに普通じゃないんです。(笑) 曲ごとで見ても,16ビードあり,ラテンっぽいリズムあり。ブルースが「タメ」を大事にする音楽なのに対して,この手の曲はタイトさが決め手になるわけで,まったく違う「タメ具合」に対応する必要があるという珍しい状況の中,どんな音楽にも対応できるおかもっちの本領発揮と言ったところでしょうか。

で,現地調達ドラムに異常も起きました。(笑) 第2部の2曲目途中でハイハットがなんかちょっとカシャン!といったと思ったらおかもっちが左でハットのネジ部を直し始めました!おいおい・・・と思いましたが,こういうトラブルにも慣れてるのでしょうか? 演奏自体はすぐにハイハットの代わりにライドで対応していて,ドラム自体はその「カシャン!」という音以外は聞いてる分には異常なく,応急処置中リズムの乱れも一切なし(ちゃんとスネアも鳴っている・・・どうやってたんだろう? (ハットとライドの間がちょうど見えなかったのでわからない・・・))。間もなくそれなりに応急処置ができたようで,ペダルでの演奏も復活しました。Baked PotatoでKARIZMAで演奏中にハイハットに異常が起きたとき,客席にいたJeff Porcaroがすぐにステージ下に飛んで来て直してくれたとVinnie Colaiutaが紹介していたエピソードを思い出し,「私に楽器の知識があれば飛んで行くのに〜〜〜!」と悔しい思いをしました。(笑) (というか,ああいう場合ってスタッフとか誰も直しに行かないもの?) 曲が終わった後はしっかりハイハットの上を抜いて調整したあと,再び設置し,ボルトをスティックで挟んで締め直してました。ほんと,冷静なモンです。

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曲は,ボーカル曲も結構長めのソロを挟んでいて,全パートが32小節ずつくらい(ほんとか?)ソロを取るものまでありました。しかし,すべてのソロ・パートがよくできていて(全部アドリブなのかある程度デモを聞いた時点で作ってきているのかわかりませんが),かなりクオリティが高かったです。おかげで,休憩も入れて全3時間弱のステージでしたが,まさにあっという間に過ぎました。(そして私の名古屋日帰り計画は潰れた・・・。念の為と宿泊先(友人宅)をおさえておいてよかった・・・。とかいって,しっかりお泊りセット持ってったんだけど。(笑))

最後にMCですが,MOTTOさんの真面目なボケと西野さんの関西系の激しいツッコミがどこかちぐはぐながら,これはこれでなんとも可笑しな雰囲気で面白かったです。MOTTOさんは落ち込んだかもしれませんが(笑), あれは西野さんが特別なんであって(笑),別にMOTTOさんのMC,おかしくもなんともなかったですよ〜。

ところで,観客の雰囲気もちょっと変わってました。(笑) まず,行っていきなり驚いたのが,結構年配の女性のグループが2つくらいあったということ。名古屋ではライブハウスにこの世代の方々が集う姿は殆ど見たことがありません。しっかり食事して和気藹々とお喋りを楽しみながらも,いざステージが始まると完全に音楽を楽しむモードに切り替わっていて,かなりライブ慣れした印象。(笑) 一方,ステージの前列を埋めたMOTTOさんのベース教室の生徒さんらしいグループは,斜め後ろから見ている限りでは,その目はもうベースに釘付け。ギター・ソロに移っても,首の角度が変わりません。(笑) あれだけのビートにも微動だにせずにひたすらベースを見つめる姿は,健気というかなんというか・・・。特に,私の席とおかもっちの間にいた前列のある男性,曲が進めば身体が動いて多少は見えるようになるかという期待に反し,全く動かず・・・。(涙 私もキース・エマーソンの手が見える位置にいたら,他の楽器が何をしようとじっと見るかも・・・と思ったけど,やっぱり身体は無意識にリズムを取ると思う!!! だから,今度はちゃんと動いてください。(笑)

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付録

音楽ファンにとってのライブの面白さは2通りあって,ひとつがオリジナルとの違いを楽しみながら練りこんだアレンジを楽しむ方法で,もうひとつが,殆ど一発セッションものでのスリルを楽しむ方法。特に後者は,プレイヤーの緊張感が伝わってくる中で,どこか練り込んでいては絶対にできないような,ある種客席と一体となって初めて生み出されるものがあって,これはこれで聞き手には非常に楽しいライブになります。2006年5月のAB'Sのライブはこの間くらいで(笑), 既に練り込んであったんだけど久しぶりなセッション(要するに練習不足(笑))という感じもあって,アルバムが出たばかりのときのツアー時とはまたちょっと違ったラフさとアドリブの面白さを楽しめました。今回はなんせ全員楽譜見ながらの殆ど初顔合わせに近い状態でのライブ。このラフさがまた面白い!
アマとプロの差というのは,テクニック・オリジナリティ・アドリブ(即興性)の3つが大きいと思うのですが,この3つをしっかり味わえたという点で,今回のようなライブもこれまた音楽ファンにはたまりません。もっとも,プレイヤーの皆さんにとってはかなりスリリングなのかもしれませんが。(笑)

[Apr.17,08 補足]: いや,違いますね。プロというのは,こういう状況に対応できるかどうかで決まるんであって,特に「スリリング」でもなんでもないんですよね。むしろ,こういう状況の方がフツーのようです。上手なアマとヘタなアマよりも,上手なアマとヘタなプロの方が,多分差が大きいんじゃないでしょうかね? つまり,アマとプロの違いというのは,それほど隔たりがあるのです。それはそれでちょっと嬉しかったりする自虐的なHarrietからのレポートでした〜♪

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