Live: うお金バンド 2008

Last Updated: Apr.09,09; Open: Mar.17,06
うお金バンド 目黒 Blues Alley Japan (Nov.11,08) ライブ・レポート -- 某超大物アーティストのバックバンドの底力 --

一ドシロウトの戯言と割り切ってお楽しみいただければ幸いです。

メンバー:高橋"JACKIE"香代子(Vo), KAZUMI(Vo),井島瑠美(Vo), 国吉良一(K), 坪井 寛(G), 昼川洋二(Sax), 川嶋一久(B), 岡本郭男(Ds)

バンド紹介はAbout: Profiles --うお金バンド--をご覧ください。

Place

関東の方にはお馴染みの目黒Blues Alley Japan...ですが!私は初めてでした。AB'Sが以前ライブをやってるんですが,その頃は私はまだAB'Sが復活していることを知りませんでしたし(ううっ!),当時はまだ一人で東京までライブハウスに行くなんて!ってな感じだったので,とお〜いことのように思ってたわけですが・・・はい,なかなかいいハコです。私が今まで東京で行ったライブハウスでいちばん音がすっきり聞こえてよかったです。特に私が座った席は私がいちばん好きな「後ろの方のど真ん中」。まさにぶっちぎり。^^v

で,メンバーが登場するところは,ステージ袖じゃなくって入り口付近からなんですね。なんかお客さんが席を探してるのかな?と思ったらおかもっちだった!みたいな感じ・・・。^^; でも,メンバーが客席の合間をねりねりと歩くというのは,その通り道付近の席の人には間近にアーティストを見る絶好のチャンスでもあります。^^ いえ,私は手を伸ばして触ろうとかは特にしてません,今回は。^^;

座席によっては見にくい席も・・・ということで,ぷちスクリーンが用意されていました。なかなか気が利いています。

UP

Live

第1部,第2部と分かれてましたが,それぞれに女性陣なし男性陣のみでの演奏が。前座??? ^^;

その前座(?)の1曲目が(多分)Larry Carltonでした。フロント中央にまだ女性陣がいないのも関わらず真ん中に出ることなく(モニターのせいかにゃ?)ステージの端っこで演奏する坪井氏はやや緊張した面持ち。なんでも男性陣でいちばん年下なのが坪井さんなのだとか。で,そんな坪井さんをおかもっちが煽る煽る煽る煽る!!! 基本的にドラムソロとかはないわけですが,坪井さんのすぐ後ろに設置されたSwishをシャンシャン叩いて景気づけ(?)しつつ,タムをドカドカ入れる等,1曲目から積極的にギターに絡み,「もっと前に出ろ,もっとやれ!」と叱咤激励(?)(しているように私には見えた!)。てなわけで,ボルテージが徐々に上がっていって・・・。

2曲インストが終わると女性陣が登場。これまでフロントを任されてきたギターとサックスの2名が「より」脇に寄り(笑),3名の女性陣が立ったステージは一気に華やかさを増します

で,いきなり,いきなり,いきなり,いきなり,Georgy Porgyなんですよぉぉぉぉぉぉぉぉ! まさかおかもっちのTOTOをこんなところで見られるとは! 実は以前,岡本さんに取材させていただいてた折に,ドラムのフィルとかはちゃんと歌えないといけない,という話になったことがありまして,「ちょっとGeorgy Porgy歌ってみて」と課題を出され,「タタタタスタスタスタスタスタスターータ!」とおかもっちにあわせて電話越しに歌ったら,この次のフィルでライブ・バージョン(おかもっち)とオリジナル・バージョン(Harriet)でズレた・・・というすっごくマニアックな経験をしたことがあります。^^; 数百回は聴いているこの曲,ボーカルもルカサーの声で完全インプットされているので,男性ボーカルでないということに多少戸惑いはあったものの,TOTOのオリジナルのままではなく,あくまで「うお金バージョン」に仕上げてあって,こちらはこちらで十分に楽しめました。^^ ご本家のGeorgy Porgyはサウンドが軽快でフュージョンっぽくなってますが,おかもっちのGeorgy Porgyはロックでした。(カッコいい・・・。TT)

あと,国吉さんの作った曲というのが,今回は3曲披露されました。これがまたいやらしい曲で(爆),途中でいきなりスウィングになったり,また戻ったりと,いわゆるハイハットのパターンとかではなくて,リズムそのもの,音楽ジャンルそのものが次々に交換していくような展開になってるんですよね。以前モットさん主催のTwin Guitar Sessionで,元バックスバニーの永井充男の曲も多少その傾向がありましたが,展開の大胆さは段違い。でも,そのアレンジが突飛ではなくちゃんとハマってるんですよね。幅広い音楽性を持つメンバーを信じればこそ作れる曲です。そういえばどっかのサイトのBBSで,スウィングとグルーヴはどう違う?なんて話が出てましたが,今回のおかもっちのスウィングは,半分スウィングで半分グルーヴといった感じ(笑)で,リズムが戻った時にすっと客側も受け入れられるように仕上げてありました。このあたりは,AB'S BlueのOnly One(<まだ解説書いてない・・・)と似たスタンスで,バランスの取り方がまさに絶妙。^^

ライブからかなり経ってる上,私,基本的に曲順とか覚えない(覚えられないとも言う)性質ですので,そのあたりは大目に見ていただいて・・・ ^^;

今回のライブでHarrietが喜んだのがStingからの選曲。聞き倒したNothing Like the Sunから2曲フィーチャーされてました。Englishman in New Yorkは当時CMソングとしてよくテレビでも流れてて,Harrietの世代の人には洋楽を普段聞いてない人にも耳馴染みのある曲です。原曲もかなりサックスがフィーチャーされてますが,歌モノもギターとサックスの競演ソロがあって,知ってる曲でそれぞれのプレイヤーのオリジナリティあるアドリブソロが楽しめるというのは音楽ファンにとっては非常に嬉しいことです。^^ あとはジミヘンの不朽の名曲Little Wing・・・「どちらかというとStingバージョンっぽい」と曲の紹介にあったのですが,StingバージョンではHiram Bullockがフィーチャーされてて,まさに泣きのソロが入ってますが(最後サックスソロに交替しますが),この頃までにはすっかりステージに馴染んだ坪井氏,独壇場。それにしても,いったいどのメンバーがStingのこのアルバムから選曲したのでしょう? とっても気になります。誰だ誰だ誰だ? ^^

ええっと,StingのLittle WingのギターはClaptonじゃなくてHiram Bullockでした。^^; あと,ギターに取って代わるソロ楽器はソプラノ・サックスかな???と思います。曖昧な記憶で書いて申し訳ありません。ここに訂正させていただきます。TT なお,Eric Claptonが弾いてるのは「They Dance Alone」,また,StingのLittle Wingには,Gil Evansが参加していることでも話題になりました。<でもすっかり忘れてました〜。TT [Apr.9,09]

ところで,女性3名のボーカル部隊・・・といえば,やっぱりThree Degreesを思い出しますよね。そしたら案の定出てきたんですが,アレンジがちょっとかなり相当ひねってありまして,かなり爆笑モノ・・・というか,遊び心いっぱいの面白い構成になってました。ある日本の曲と絡めてあったのですが,そちらの曲も女性ボーカルハモリがあるんですよね。で,私はそっちの日本の曲の方は,中学時代よく友達とハモって遊んでいたので,とっても懐かしかったです。もちろん振り付けも・・・これ,ネタバレになると次に演奏した時面白さが減りかねないからあとはナイショにしておこうっと。(笑)

女性ボーカル陣,素晴らしかったですね。いつもは某超大物アーティスト(<くどい)のバックコーラスを担当しているわけですが,いろんな意味で鍛え抜かれているのでしょう・・・ ^^;;; 一人ひとりの声は決して無個性ではなく,ちゃんと違っているのに,一緒に歌うとどうしてあんなふうにがちっと合うんでしょうね? 本当に音楽って不思議です。で,この3名は,このライブを完全に「ショー」にするということを成功させていて,振り付け等もきちんと決めてやって,視覚的にも楽しめるライブになってました。あと,JACKIEさんはとにかく笑顔がパワフルで貫禄があって(スリムなのに),フロントに立つだけでステージの色が変わっちゃうような感じ。でも,左右に配したボーカル2名に比べて一人で目立つ,というようなことはないんですよね。さすがコーラスの大御所,といった雰囲気でした。^^

そんな曲と曲との間を繋ぐのはMC。基本的には国吉さんがMCを取って,ご自身の各メンバーに対する印象等も加えながら曲やメンバーの紹介をされてました。一方,もう一人のMC役が坪井さんなのですが,どこか天然,どこかカワイイ・・・。^^; 他のバンドとは一味違ったMC分担が楽しめそうです。^^

余談ですが,会場では各メンバーの活動それぞれの活動の紹介と共に,それぞれの皆様の関連CDの販売もされてたようですが(坪井さんが「(Be-Projectの)いわゆる赤盤・青盤です」なんて紹介されてました(爆)),もしAB'Sの「青盤」(<BLUEのこと,ベスト・コレクションではありません ^^;)も販売されてて,一人でも多くの方々にお聞きいただいてたらとっても嬉しいです。^^

UP

おかもっちの役割 -- Harrietの豪放Talk --

As a Co-Producer

そもそも,飲み会の席で盛り上がって「バンドやろう!」ってのはアマチュアでもよくある話ですが(そうか?),実際一晩経つと冷めてるものです(そうか?)。こういうのって誰かがイニシアチブを取らないと実現しませんよね(<これは本当)。で,このバンド,そういった盛り上がりの後,実際にハコを取っちゃったのがおかもっち。(もっともライブでは誰が取ったかまでは特に公表されたわけではないのですが,その知らせを聞いて国吉さんがびっくりして・・・みたいな話の流れと,その話の最中のおかもっちのニマニマ顔(してやったりってカオしてました!),それができる立場である点等考慮すればまず間違いないでしょう。)

・・・となると!このバンドの仕掛け人もおかもっちということになります。^^;

もちろん,バンドのメンバー同士,多分某超大物アーティストのバックバンドとして長いリハとツアーで苦楽を共にし(TT),しかもDVDで垣間見ることが出来るそのおっそろしいリハシーンから想像するに,しっかりとしたチームワークと信頼関係が「バックバンド」の域を超える結果となったとしても不思議ではありません。実際,MCでのお話だと,普通こういったサポートのメンバー同士でこれほど仲が良い,という例はあまりないということでした。

ただ,単に「仲が良い」からバンドは組まないでしょう。当然, 演奏して楽しめ,かつ客を楽しませることが出来る,という確信がなければ,酒の席の盛り上がりで終わっちゃうと思うんですよね。サポート経験を通して,真摯なサウンドへの追求だけでなく,ライブは「魅せる」要素も重要である,という点においても相当鍛えられている底力を独自のバンドとして体現したい,という気持ちをふつふつとさせた要因があるはずです。^^

インスピレーションの源のひとつは当然女性ボーカル陣かと思われます。おかもっちのこれまでのライブ経験を見ると,意外なことに女性のライブ・サポートは(Harrietが調べた限り)殆どないんです! ただ,AB'Sのファンであれば,AB'Sのライブで披露された桑名晴子との「Who Are You?」を思い起こす人も多いでしょう。^^ ギタマガで藤丸さんがインタビューで,AB'Sの再結成のきっかけが,The Triple Xの打ち上げでB.G.M.で桑名晴子の「Moonlight Island」を流してたのを聞いて,おかもっちが「カッコいいじゃん,またやろうよ!」と言ったから,というのがありましたし(おかもっちが覚えているかどうかは不明),トリプル東京ではシュンケイさんをボーカルにして活躍していた時もあったようですが,こうした複数女性ボーカルを配したユニットというのは初めてなのではないでしょか? そして,そういうのをやりたいとおかもっちに思わせるような女性ボーカル陣なのだと思います。^^

あとはなんといっても国吉氏の存在でしょう! なんせ,『鉄道員』(ぽっぽや)で第23回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞しております。^^; 音楽性も幅広く,しかもMCでの感じからすると温厚でとっても優しそうな感じを受けます。^^ こんな強力なブレインがいたら,やっぱ,バンドとして活動したくなりますよね。^^

それから,ベーシストの川嶋一久。調べたら,以前,和太鼓・三味線(日本の伝統楽器)とギター・ベース・ドラム等(海外の楽器)を一緒に演奏しようという「六三四MUSASHI」というバンドで活躍していたようです。で,作曲もします。^^ タイコの出番が多いバンドではベースは多分タイムキープと低音サポートに徹する機会が多いと思うんですよね。

で,川嶋さんは,桜島ライブでもおかもっちと組んでいます。基本的に派手なプレイをしないでリズムキープに徹するスタンスは,おかもっちと合致している上,歌モノサポートには最適です。で,実際にこの日の川嶋さんのプレイがまさにそうでした。シブい・・・。TT (もっとも,もしソロをやる機会があったら豹変する可能性は高い。)

ちなみにこの方,その某超大物アーティストの1983年の西武球場のライブに参加してるんですが,このときのギターが面谷誠二・・・そう,おかもっちがネム音時代に,愛奴のコンサートに一緒に行ってたあの「面谷さん」です。面谷さんは,なんとその某超大物アーティストと共著で『君はギターの弦を切ったことがあるか』(1984年; 八曜社)という本を出してました。^^; ひょっとしておかもっちのライブへの参加推薦は元々このラインから来たのかもしれません。(<全然違うかもしれません。^^; )

話を戻して・・・。^^; あとはサックスの存在ですよね。^^ A.O.Sessionでも2回目はサックスをフィーチャーしてましたが,1本でも十分フロントを取れるサックスを,インスト部でフロントに,歌部でソロ部やオカズに,自由に配することができるというのは,バンドの守備範囲を相当広げることができると思われます。しかもこの昼田さん,うまいんですよ。TT

このメンバー構成だけを見ても将来どんな路線にも対応できそうで,いろんなインスピレーションが湧くのではないかと思われます。^^

それにしても,いいメンバーをバックに選んでますよね。^^ さっすがっ!>超大物アーティストさん

UP

おかもっち As a Drummer

このライブの特徴は,メインがあくまでフロントだということ。インストの曲では坪井・昼田がソロを取り,女性陣が入れば女性陣がしっかりパフォーマンス。逆に,リズムセクションにはソロはありませんでした。タイムキープとサウンドの骨組みをしっかり作る役割がメインで,たまにドラムのオカズが入ってくる感じ。もちろんそのオカズがこれまた思いっきりおかもっちぃで,うーん,おかもっちの醍醐味はやっぱ,フロントがしっかりした構成のライブだなあと改めて思いました。

おかもっちは以前伺った際,ソロを作るとしたら,インスト1曲であとは歌モノ,というお返事でしたが,そういうおかもっちのスタンスに非常に合ったバンドですよね。しっかり練られたアレンジの中で他の楽器がどう動くか,その中で曲におけるドラムの役割がどうあるべきかという点をしっかり意識してプレイしていくおかもっちは,単なるドラマーじゃなくって,素晴らしいサウンド・クリエイターでもあり,演出家でもありますよね。^^

おかもっちのライブでの魅力は,魅せるところでは魅せるけれども,引くところでは徹底的に引いて余計なことはせずタイムキープに徹するプロな演奏。^^

今回も,冒頭でこそ,ギターやサックスに積極的に絡んで・・・というか,積極的に煽って(笑),音数を増やして盛り上げを演出していましたが,一旦坪井・・昼田の両名が前に出るようになったと見るや,スタンスを変えて一気にプレイを引きます(こういうおかもっちが好きーーーーーっ!! ^^ )国吉さんのソロあたりは煽る必要はないので,とにかく国吉さんをしっかり見てしっかり音を聞いて神経を研ぎ澄ませて,ここぞというときにシンバルやフィルをバシッ!っと入れますが,基本的にはあくまでそのフレーズを生かすプレイ。このね,生かし方がね,ちょっとね,たまらないんですよね。^^

てなわけで,名古屋からはるばる行った甲斐のある素晴らしいライブとなったのでした。^^

追記:StingのNothing Like the SunのドラムはManu Katche,おかもっちのこの日の使用スネアは確かマヌ・カチェモデルだったと思います。うーん,なんか面白いですねえ。^^ [Apr.09,09]

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