日本のJeffファンにはあまりにも有名な尾崎亜美「Prism Train」。Jeffの軽快な「ドットコタ」バスドラのオンパレードに,聞くたびに悶絶するファンも多いことでしょう。かくいうHarrietもそうです。このアルバムを聞くと,この曲の前までは順調に聞い進められるんですが,この曲の間奏に入った途端,条件反射的にRepeatモードに瞬間的に変えてしまって,なかなか次の曲に進めなかったりします。^^;
まずはどういう曲か,YouTubeで聞いちゃいましょう。^^
てな感じ。Harrietはこのジェフを「ぶっ飛びジェフ」と呼んでおります。^^
で,背景的なこと,楽曲のトータルな解説は Jeff's World Session Works "Hot Baby"をご覧頂きましょう。詳細は定かではありませんが,このJW管理人さんによるPrism Trainのファーストテイクよりセカンドテイクに方がテンション云々という箇所,確かにそんな気がします。とにかくこの曲はぶっ飛びすぎております。^^;
で,聞いてるうちにHarrietに素朴な疑問・・・「一体この曲でJeffは何回ドットコタをやっているんだろう?」
・・・てなわけで,数えちゃいましたーーーーっ!!!!!
A: 「ドットコタ」B: ッタコタ(最初のバスドラがないパターン)
C:ドットコタトン(スネアの直後にもバスドラ)D: 最初のバスドラがなくてスネアの後ろにバスドラ
この4小節とドットコタバリエーションを続けて演奏するとこうなります:
基本的に,バスドラ連打はスネアの前に入るので,2拍を1単位で捉えてカウントしていけばよいことになります。フィルは「F」,特に連打してないところは「--」と表記してトライしてみましょう。^^
てなわけで,あれ?Dのパターンってなかったのね・・・。^^; <マヌケ ^^;;; で,ドットコタドッド!ってのもありましたね。それはとりあえずCに入れておきました。^^; あ,Harriet,シロウトですのでね,聞き漏らしとか聞き間違えとかあるかと思いますが,とりあえずこの表(?)で数えると・・・。
8小節x16+4小節x4+1とFade Out分で,約150小節,つまり約600拍,2で割って2拍分が300,その中で,A,B,Cのパターンで,なんと43回打ってるんですね。^^; いやまあこれじゃ,オンパレードとしかいいようがありません。天晴れ,Jeff!
といいつつですね,実はHarriet,このバスドラが気分爽快ではあるものの,サビのシンプルなフィルとかシンバル(ライド?)のアクセントのつけ方にもっともっとシビれるのです。^^ タム1発とか,たまりませんよね。^^
てなわけで,ぶっ飛びつつも小技がキレまくっているジェフをこの曲で満喫しましょう。^^
さて,時代は一気に11年過ぎます。この間にTOTOはグラミー賞を受賞,Jeffはどんどん忙しくなり,さらにTOTO IV以降,プレイが一気にシブくなります。
この間に演奏しているのが別ページでご紹介しているK.ODA(小田和正のファーストソロアルバム)。お読みいただくまでもなく,ジェフのバスドラワークは非常にシブくなります。老練といってもいいくらいです。まだ30代なのに〜。^^;
ところがですね,打ち込み時代に突入,一時期仕事が減った(らしい)ジェフは,90年代初頭には既に仕事が戻りつつあるとインタビュー(対談)で答えています。打ち込みに飽きた,もしくは物足りなく感じたプロデューサー,アレンジャーの方々が,やはりナマ音回帰に走ったのでしょう。このままJeffが生き続けていたら,打ち込みもここまで隆盛を極めることはなかったかもしれません。(ううっ!!!)
ともあれ,そんな状況の中でのジェフ。既に河内淳一がサイトを閉じて作家のお仕事に専念されてるようなので,サイトに書いてあった内容をHarrietの記憶を頼りに。
確か,この前に河内さんは既にLA録音を果たしています。河内淳一のアルバムのDiscographyをご紹介しますと:
てな感じ。で,Private HeavenのときにMike Porcaroが,「ジュンイチの曲はきっとジェフが好きだから次はジェフに頼んだら? 僕が仲介してあげるよ」みたいなお申し出があって,それでそのときから心は既に次のアルバムに・・・みたいなことが書いてあったように思います。(おいおい,Vinnieに頼んでおいてそれはないでしょう,とツッコミを入れながら読んだ記憶が。^^; ) で,実際デモを聞いたジェフが気に入って,This is (<じゃなかったかもしれない ^^; It'sだったかも) my juice! みたいなことを言って,そのジェフのセリフを受けてアルバムタイトルを"Juice"にしたのだとか。^^
Jeffに"my juice!"と言わせた楽曲がどのデモだったのかは不明ですが,「Studio-Aの友人」でJeffはすっごくノッて叩いて,挙句にスティックを折っております。(河内さんちのサイトにはそのジェフの折れたスティックの写真が載っていた!!!!!)10分くらい演奏していたらしいですが,実際の収録は当然ながら適当なところでフェイドアウトされています。全部収録すればよかったのにぃぃぃぃ〜 ^^;
そんな「Studio-Aの友人」,基本的には8ビートアップテンポのストレートなロック。ジェフがいちばん好きな,グルーヴを最も出しやすいと考えていたリズムです。そして実際この曲ではジェフはノリまくり。これでもか,これでもか!とばかり,思いっきりノリをプッシュしつつ,レイドバック感のあるスネアでめくるめく素晴らしいグルーヴを聞かせてくれます。
ちなみにこのアルバムは,日本のアーティストがL.A.の一流ミュージシャンに何にも臆することなく堂々と渡り合ってまさに対等に制作されており,日本が誇るジェフアルバムといっても過言ではない素晴らしい仕上がりになっています。
話が逸れましたが,この8ビートプッシュの楽曲ながら,キーボードであり共同アレンジャーでもある片山敦夫(サザンのサポートでおなじみ)によるシンセ単音16分音符での飾りで始まるプレ間奏のみ,唯一ジェフが16ビートを聞かせます。それがこの箇所。ここでジェフは,比較的厚めのサウンドの中でタムの使用を最小限に抑えつつ,バスドラで16ビートのリズムを繰り出し,サウンドに一気にスリリングさと興奮をスパイスします。ハイハットがハーフオープンで恐らく4ビートで押していて,その対比が心地よいです。キメの16分でのフィルを聞く限り,かなり入念にリハをやっているものと思われますが,恐らく録音自体は一発録り。なんたって冒頭,スティックとハイハットと共にジェフのカウントを取る声が入っております。きゃあ,シアワセ!!!^^
残念ながら(それが当然といえば当然なんですが ^^; )YouTubeには上がっておりません。そこで,ドラムのその箇所のみちょっと拾ってみました。ただし,これはかなり間違いもあると思われます。どなたか正しい楽譜をHarrietにください。^^; (<他力本願)
『Studio-Aの友人』ギターソロの前のプレ間奏のドラム
そう,穏やかな演奏に落ち着きつつあったジェフが,この楽曲では弾けまくっているのです。K.ODAで魅せたシブいジェフが再び,ぶっ飛びジェフに戻った一瞬,それがこのプレ間奏なのです。
いえいえ,だけど,K.ODAを経たぶっ飛びジェフは,やはり20代のジェフとは違うのです。Goodbye ElenoreやPrism Trainで目立ちまくってたバスドラは影を潜め,あくまで味付けに徹しています。アレンジ面から見ると,この箇所でシンセ16の味付け,それに呼応してバスドラ,そしてメインのギターソロ,というわけですが,ひっくり返せば,河内淳一のギターソロが16分弾き倒しなので,その前振りにシンセが入り,その煽りの演出(聞き手の興奮を引き出す)でこのバスドラワークを見せたのではないかと思います。見事なのは,これに続くギターソロの最後のフレーズがちゃんと8分音符構成に戻していて16分を入れてないんですよね。で,ブレイクがあって(<エアポケット),そのあとタムを8分で3発回したフィルでサビに繋げていて,でもテンションはきっちりどの楽器も下げてる。だから,ソロのあとのサビがちゃんと歌モノJ-ROCKのテンションに戻っていて,エンディングもそれほど魅力的な演奏だったようなのにちゃんと1曲の長さにふさわしいところで切ってます。
Jeffはそもそも,ギターソロ部では確実にギターに聞き手の関心が集まるよう,決して目立つプレイはしていません。90年代の「ぶっ飛びジェフ」は70年代からTOTO IVまでのぶっ飛びジェフ,K.ODAに代表されるジミジェフを経て現れた「発展形」であることが,他の楽器との兼ね合い,他のパートのリズムとのバランスからわかります。これらのプレイがまたTOTOの新譜(Kingdom of Desire)に繋がり,そして時は止まりましたが,それでも,このアルバムで発展形ぶっ飛びジェフを聞ける日本のジェフファンはやはりシアワセだとHarrietは思うのです。