K.ODA/ 小田和正

Last Updated: Oct. 29, 2013
このページでは,ジェフが参加したJ-POPのレコーディングの中で最も意外性があり,かつ非常にクオリティの高い作品でもある小田和正のソロ・デビュー・アルバム『K.ODA』を取り上げます。

リンク切れ直しました ^^; (2013-10-29)

K.ODAにおける「ドッタコタ」に迫る!

ドッタコタ・・・と聞いてすぐ何のことだか分かる方は,紛れもなくジェフファン・・・というだけでなく,恐らくJeff's Worldを愛読されてる方ではないかと推測しつつ・・・はい,表現,借りました。^^; ごめんなさい,管理人さん。^^; てなわけで,ジェフ印と言われるフィルは「タタトン」というのが有名ですが,このドッタコタも恐らくそうでしょう。手っ取り早く言えば,2拍のうちの1拍めを4つに割って(1小節で考えるなら,16分音符のかたまり4つ),そのうちの1・3・4のところでバスドラを踏み,4拍目最初にスネアを打つ,という奏法(というほどのものかどうかはわかりませんが)です。なお,そのバリエーションとして,最初のバスドラがない「(ドッ)タコタ!」」というのもあります。

dottakota_s.jpg(19474 byte) ドッタコタ!
(左)「ドッタコタ」(右)ドッタコタの最初のバスドラがない「(ドッ)タコタ」

この4小節を続けて演奏するとこうなります

この「ドッタコタ」が最もよく聞ける曲は?と尋ねられたら,まずはなんと言っても,The Baked Potato Super Live!の第1曲目 "Bomp Me",そして,日本のジェフファンなら誰でも持ってる(かどうかわかりませんが)David Fosterプロデュース作品・尾崎亜美 Hot Baby収録の"Prism Train"が筆頭に上がるでしょう。この両者は,比較的アップテンポな8ビートの楽曲で,このドッタコタ効果により物凄くノリがプッシュされています。特に1981年前後のジェフは,自慢のスライド奏法を生かしたこのフレーズを非常によく使っています。ちなみにはりちゃんは個人的に,こんなジェフを「ぶっ飛びジェフ(動のジェフ)」と呼んでおります。^^

ところが,TOTO IVのレコーディングを境に・・・なのかどうかは不明ですが,その後ジェフのプレイは,ジミ一直線。^^; あのGoodbye Elenoreで魅せたバスドラ連打等の派手なプレイは影を潜め,グルーヴを重視し楽曲に溶け込むスタンスに一変します。長い長いTOTO IVのレコーディングでアレンジを練りに練った結果,自らのドラムのスタンスをそういう位置で確立したのでしょう。

ところがですね,この「ドッタコタ」,アップテンポのプッシュから,物凄くささやかな「爆弾」として,ジェフは密かに使い続けます。その好例がこの!K.ODAです。^^

というわけで,Harrietお気に入りの「ドッタコタ」(バリエーション含む)奏法を含む3曲を見て行きます。^^

なお,このアルバム,Tsutaya Onlineでちょびっとだけ聞けます。ただし,本ページに関連した箇所は聴けません〜。^^;

K.ODA

  • Produced by Bill Schnee
  • Co-produced by Kazumasa Oda
  • Guitars: Dann Huff
  • Bass: David Hungate
  • Drums: Jeff Porcaro
  • Percussion: Lenny Castro
  • Keyboards and Synthesizers:
    Robbie Buchannan
    Phil Nash
    Alan Pasqua
    Kazumasa Oda
  • Fairlight Synthesizer Programming: Rhett Lawrence
  • Sax: George Englund
  • Engineered by Bill Schnee, Daniel Garcia
  • Mixed by Bill Schnee

UP

1. 『切ない愛のうたをきかせて』

このアルバム,1曲目はイントロがありません。いきなり歌が入ります。最初はリズムマシンでスタート。ポコポコした音がゆったりと曲を味付けてます。海の中にいて泡の音を聞いてるような単調で静かなサウンドになってます。

で,本格的にジェフが入るのは2番から。ドラムの音にもかなりエフェクトが効かせてあって,当時流行ってたシモンズみたいな感じにしてあります。ただし,まだ最初はスネアが入る頻度が低いです。まだビートではなく味付けってな感じです。サビ部(Cメロ)も1小節につき4拍目のみスネアになってます。そですねえ,単調なリズムマシンからエフェクト音なドラムが入ったってな感じでしょか。

が!他とちょいと違うメロディー(Dメロとしておきます)のあと,キメキメな箇所が出てきます。といっても,それまで単調に進んでいたリズムが一旦ブレイクして,キメであわせるわけですが,キーボードのバッキングは続いているので,キメてるのはリズムのみという質素なキメです。^^; ただし,ドラムは一気にヒューマンにかわります。最初はバスドラとスプラッシュシンバルみたいな短いシンバル音でキメを構成。単にさっさとミュートしてるだけかもしれませんが,音がさほど広がってないです。^^; 4拍目,フレーズが一区切りするところでは,うまいところに一発タムを入れた後,シンセと合わせて2発,高低差を利用して。同様な感じで繰り返したあと,3連を組み入れたフィルを入れて次へ。

で,曲のいちばんの盛り上がりである最後のサビの繰り返しに入り,2,4拍目にスネアが入るビートなパターンになります。てなわけで,お待たせいたしました。^^ 6小節目の後半,ドッタコタです! キメもサビのメロディーで8小節で,この箇所が後半8小節。前半でリズムをブレイクし,締めのフィルで高低差を生かし速い3連を組み入れ,そのあとこのドッタコタ!で16ビートのテイストを何気に加味。

そして,このあとフィルという程のフィルもなく割合あっけらかんと転調,曲のムードが一気に明るくなります。そして,ここでも同じ箇所にドッタコタを入れています! んでもって,この箇所の締めのフレーズは16ビート。

さらにですね,なんと,エンディングのギターソロに入ってからも,8小節構成の6小節目3拍目という同じ箇所にドッタコタを入れてます。 そしてですね,フェイドアウトのちょい前くらいでギターソロがついに速弾きになるんですが。そこでも,6小節目にちゃんと入ってます。ただし,エンディングのほうではバリエーションの方,つまり3拍目のバスドラを抜かしてます。そのため,この(・・)ドドタン!のドド(ドッタコタでいうタコの部分で16分音符が2つ)が冴えてます。^^

てなわけで,あくまでHarrietの推測ですが,この曲は比較的単調なところから始まってブレイク部で思いっきりヒューマンになった割りに,そのあと転調してスネアが増えて明るくなるとはいえ,まあ,はっきり言えば,変化はそのくらいなんですよね。スペースがとにかく広いんです。それで,ジェフがスパイスを入れたのではないかと。3回,同じ箇所で入れてるということは,当然狙って入れてるということですよね。そして,他の楽器が流れる感じになってるので(ギターソロも8ビートのリズムを崩さず,しかもタイを使ってシンコペさせてる)聞いてると何気にはっとしてしまうわけです。^^

てなわけで,この曲では,後半の盛り上げに一役買いつつ,サウンドに16のノリを加味する役割を果たしてます。ただし,同じ箇所に入れてる,ということで,ある程度曲中でパターン化はされてることになります。

UP

2. 『冬の二人』

Harrietがジェフの演奏の中で最も好きな楽曲のひとつです。何がこんなに好きなのか最初分からなかったんですが,やはりドッタコタにあるのではないかと自己分析。この楽曲も歌詞もアレンジも素晴らしいです。かなりジェフがジェフしていると思うのでちょいと詳し目に・・・。^^

イントロ
わざとなのかなんなのか,最初に入ったライドの音が実にリズムをとる上で紛らわしいです。1曲目と違ってかなりドラマチックなイントロになってます。最初は丁寧にライドを打ってますが,ヘッドフォンで聞くと右から左に揺らぎます。最初に打ってたシンバルを徐々に大きくした後,別のシンバルに途中交替して,シンバルの音色の違いを上手く生かしてます。てるのでしょう。シンセがウラ打ちのような感じでずっと鳴ってますので,ドラムはドラム・・・じゃなかった,ドラマチックな演出に借り出されてますが,シンバルやハットでビートを刻む箇所もあります。
Aメロ
この時代にしてはかなりスナッピーの音がしっかり響く,ピッチが比較的高めのスネア音が入ってきます。バスドラも効いてます。この曲のこの箇所は,ドラムはリズムをキープしますが,ベースはかなりスペースが空いてます。あのですね,ちょっと渡辺直樹のベースの入れ方と似てますね。でも,ベースはHungateなのです。TOTOをやめたあとなのに,なんとHungateが借り出されているのです! そのタイトなリズムがジェフのドラムとバツグンのコンビネーションを見せ,その合間に単音でシンセによるオカズが入るわけです。1.5拍目(意味わかります? ^^; )のギターも効いてますね。とにかく,メインの音数を相当控えてます。この当時はJ-POP全盛期,どこもかしこもオーバープロデュースの嵐といった風情のJ-POP界で,見事なまでのそぎ落としです。だから,ジェフのドラムが映える映える! 言い換えれば,このメンバーに演奏してもらうんだから,その演奏を皆に聞いてもらわなくっちゃ!というアレンジになってる感じがします。4拍目に入るハイハットオープンを1拍まるまる響かせるのもジェフ印のひとつかな。^^ この曲はこのワザも非常に効いてるんですよね。^^
Bメロ
ここは,短いハイハットが入るすき間に1.5拍目に別のシンバルみたいなのが入ってます。ハイハットなら同じマイクで拾うはずなのですが,聞こえる位置が違うので多分違うシンバル類です。それに,タンブリンがかぶさってます。ほんっとにパーカッション類の味付けがうまいアルバムだなあとつくづく思います。^^
サビ
この曲のテーマみたいなリフがシンセで入ってきます。ここも8ビートですが,ドドタン・ドドタン・というリズムなので,かなりプッシュ感が出てます。で,締めのブレイクの次,2番に入る直前に単発で出てまいりました,ドッタコタバリエーションのフィル! ドッタコタ!の最初のバスドラがないパターン+スネアがフラムになっていて,このバスドラ連打だけでその前のスペースが余計に生きまくっております。ここはドッタコタのバリエーションというよりは,とってもシンプルな「ドドパン!」フィルといってもよいですね。ああ,ジェフってば,どうしてこんなシンプルなフィルなのにこんなにカッチョいいのかしら。*^^*
2番Aメロ
締めがスネア2発。超シンプル!(解説も超シンプル・・・。 ^^; )
Bメロ
締めに,スネア連打と絡めたタタトンが出ました! やたら16ビートにしないでシンプルにスネア2発のみ16ビートでフィルを入れるだけですが,この曲は基本8ビートなのでそれでよいのです。
サビ
1番で書き忘れましたが,サビ部ではカウベルが入りますので,ドラムはよりシンプルになる感じです。締めは間奏へのフィルですので,ちょっと力はいってます。クレッシェンドクレッシェンド!!!
間奏!
はい,来ました,間奏です! Harrietがいちばん好きなのがここ。いえ,小田和正の曲も歌も好きなんですが,この間奏のギターソロの泣きがたまりません。^^; んでもって,ここのドラムもよいのです! てなわけで,ここの解説はまた後ほど。^^ なお,フィルは間奏真ん中と締め,両方に16分での連打を使っています。
Bメロ
サビに入る前にもう一度Bメロに行きます。ここも締めはタタトン!
サビ
最後の盛り上がり。ですが,シンセが入ってくるのでやはり地味です。ひたすらタイムキープ。
エンディング
コーラスとシンセが入って,そのあとギターソロが入ります。ジェフはミディアムテンポな8ビートをシンプルにたたき上げておりますが,さすがにギターソロが8小節派手に弾きおえたところは相応に目立つフィルを入れて,もうすぐフェイドアウトするよと合図しています。^^

てな感じで,後半かなり端折りましたが ^^; そのあたりは気にせずにさっさとドッタコタに行きましょう!

まずは間奏のドラムを聞いてみましょう。^^ といっても,ホンモノをお聞かせするわけにはいかないので,Harrietが打ち込みしたものですが。^^; んでもって,はりちゃん,ドラムは専門外ですのでコピーが多少アレですが。^^;

『冬の二人』間奏のドラム

これは間奏全体のドラムで,前半8小節,後半8小節の計16小節構成になってます。そのうち,後半8小節のうちの4小節目3拍目に,ドッタコタが入っております。

この箇所を3小節だけピックアップして,ギターソロの楽譜と合わせてみました。チョーキングとかそういうの,このソフトでだとどうやって書くのかようわかんないので,そのまんま基本の音だけシンプルに書いてあります。^^; なお,Harriet,ギターも専門外ですのでコピーがやはりかなりアレですが。^^; あ,あと,ハイハットオープン,このソフト,上にまるが書けないみたいで・・・(書けるかもしれないけどようわからん・・・。TT )と。。。ともあれ(<ごまかす),こんな感じで,バスドラが16分音符の箇所のみギターソロのリズムと合わせてあります。^^

K.ODA『冬の二人』間奏10〜12小節目のリードギターとドラム
『冬の二人』間奏10〜12小節目のリードギターとドラム

恐らくこの手のレコーディングでは,ギターソロもかなりきっちり決めてあると思いますので,リハの段階でこのフレーズがアタマに入っちゃって,それで無意識にスパイスを入れたのか,このあと2小節でギターソロが終わって歌部に移るのでまとめに入る前振りにしたか,という点ですが,『切ない・・・』では8小節単位で見て最後の2小節のまとめの直前にあたる6小節目の3拍目に3箇所入れてたことも考えると,恐らくこの両方なんだろうな,と思います。あと,間奏のところどころ(このドッタコタの次の小節含む)に16ビートのリズムでキーボードが効果音のように入りますので,その16ビート感とのコミュニケーション的な役割もあるのではないでしょか。といっても,あくまでHarrietの解釈(というより妄想?)ですので,皆様のご意見をお待ちしております。^^

UP

6. 『信じるところへ』

はい,てなわけで,スパイスとしてのドッタコタを見てまいりましたが,最後は6曲目に収録されているこの曲で締めましょう。16ビートのAORテイストな楽曲でございます。

この曲にあるドッタコタは,最初のバスドラがない(ドッ)タコタ・・・というより,ドドパン!です。Harrietは初めてこの曲を聞いたとき,ゆったりぼーっとしていたのですが,このドドパンを聞いて一気に「はっ!!!」曲に引き戻され,何だ今のは,と思わず冒頭から聞きなおしてしまいました。今でもここになるとはっとなります。全然成長しません。^^;

てな箇所はどこかと申しますと,間奏が終わって,例によってBメロに戻るわけですが,そのBメロ5小節目の3拍目・・・というより,4拍目のスネアの直前です。余力を振り絞ってあと1小節,楽譜にしてみました。

『信じるところへ』間奏後のBメロ5小節

『信じるところへ』間奏後のBメロ5小節目

という感じで,まあこれだけでは・・・ってところがミソ。これが,楽曲に入った瞬間,こうなります。。。といっても,これまた著作権の問題がありますので,1小節だけ骨子の音だけ。

『信じるところへ』間奏後のBメロ5小節目

つまり,この箇所はボーカル以外はバックがリズムを合わせてまして,その隙間に32分バスドラ連打が狙い済ましたように入るわけです。これ,機械の音だからアレですが,是非原曲を聞いてみましょう。ジェフのスネア,パシン!っと入ってて,これ,スパイスというより,もうフィルよフィル!!!てな感じですよね。^^ スペースの空いた箇所にいきなりこれが入っちゃ,そりゃ目も覚めますわ。^^

てなわけで,丁寧なのか雑なのかさっぱりわからない解説になってしまいましたが,こんなK.ODAのジェフが,Harrietはもう大好きなのでございます。うふふ。^^

UP