あとはまだ準備中です。^^;
Yoshihiko ANDO/ Makoto MATSUSHITA
イントロのキメ後にいきなりレゲエ・テイストのリズム(本当のレゲエではない>下の Something Extra参照)。楽曲や歌詞が持つエスニックな雰囲気が,AB'Sカラーにしっかり染まった感じがします(Asian Moon,この曲,Ethnic Cosmicあたりを,私は個人的に「AB'Sエスニック・シリーズ」と呼んでます(笑) (藤丸さんのソロのShang-Hide Nightもその仲間))。Intro(2)からAメロ部までは,比較的高音部での効果音的に入ったギターと間を生かしたソリッドなベースが,レゲエ・テイストのリズム・ギターにしっかり絡んでいい感じです。ここと間奏部のギターは,レゲエのリズムと,ソロと,バックでの効果音と入っているので,多分オーバーダブしてると思います(時々ギターなのかキーボードなのかわからなくなるので自信なし)。このレゲエ・テイストなリズム・ギターが,時折カッティングを甘くして遊んでいるところ等がなんともゆったりしてていいです。A'メロ部ではこのリズムを更にキーボード(エレピ系かな)が中音域でサポートしてます。Bメロ部では,バック・コーラスが少し入りますが,この曲はAB'Sにしてはコーラス・パートが少なく,しっとりした誠ボーカルがメイン。ここではギターが中音域でカッティングし,キーボードが高めの音域をサポート。ここのコード・コンビネーションは尋常じゃありません(キーボードとカッティング・ギターのコードが微妙に違う)。Cメロ部はCメロと起こそうか,Bメロに入れちゃおうか迷いましたが,結局切り離しました。そのCメロ部はBメロの展開箇所ですが,この曲の中では比較的重厚なサウンドにしてあります。曲を通して不可思議ムードの中で目立つのがベース。フレットレス???少しシンセ(エフェクト)がかませてあるのではないかと思えるような音色で,のったりした感じのフレーズを弾きながらも,いきなりチョッパーを入れたりして,かなり遊んでます。その一方で,イントロと間奏のギター・ソロの音のシブいこと!(笑)<これってまこっちゃん(=誠さん)のギターかな? 誠さんの曲はだいたいフツーじゃないですが(笑),この曲も,サビの繰り返しもなくあっさり終わるという点で,ある意味珍しいパターンになってます(ありそうでないですよね,こういうの)。
本来レゲエというのは,「ドン・・|チャッチャ|ドン・・|チャッチャ」というシャッフル系のリズムですが,この曲は16ビートとはいえ,確かにレゲエのテイストがあります。このアルバムが出たのが,多分ポリス(The Police)が流行っていた頃だと思うので,そのテイストをAB'S風にするとどうなるか?というような遊び心もあったのかもしれません(イギリス録音だし)。 AB'Sは変幻自在で,どんなリズムでもAB'Sカラーに染めてしまうアレンジ力があります。とはいえ,この後レゲエ・テイストの曲はありません。(笑) ともあれ,海外進出を考えて,意識的にアジアン・テイストやエスニック・テイストを入れていた可能性もあるかな?なんて思ってます。
さて,ここでは,「ばりばりレゲエ」と「16ビートのレゲエ(もどき)」のドラムを比較したいと思います。
1) 「青い影」近藤房之助 you'll never break my "HEART OF STONE" live at PIT INNに収録(Dr:おかもっち):これはばりばり系レゲエ。基本はハイハットでのリズム刻み。時折ハットを3連にし,サイド・スネアを小節が変わる直前などに入れてます。リズムの中心はバスドラによる3拍目。スネアはAメロ部がサイド・スティック(クローズド・リム・ショット)で,Bメロ部は普通のスネア打ち(オープン・リム・ショット)。レゲエ・リズムは直樹さんのベースが「チャッチャ」のところでシンクロさせてます。非常にタイトで余分な音のない構成。その代わりフィルは結構タムを上から下へ流してます。ジャズ・テイストをしっかり絡ませたレゲエはおかもっちにとってかなり得意なリズムとみました。(というか,おかもっちはシャッフル系,安定感抜群ですよね。)
2)「Tea in the Sahara」The Police The Police Live!(輸入盤)に収録(Dr.:スチュワート・コープランド(Stewart Copeland)): これはややばりばり系レゲエ。(笑) ジェフも注目していたコープランド。ここでのレゲエは,ハイハットとライドの両方を使ってますが,音はかなりタイトです。バスドラを入れるタイミングは,ハーフタイムシャッフルでカウントすると,2拍目のしっぽに入れてます。つまり,「青い影」よりも1/12拍早いことになるのかな?サビになると,あのお馴染みのパーカッシヴな高音タムとスネアで味付けを入れてきますが,ハイハットは後半もタイトなまま。間奏ではかなりタムを入れてます。最後はライドをちょっと2拍3割などちょっと雰囲気を変えて入れてます。そのドラム,AB'S ファーストと比べると,スネアの音質がかなり違います。それで私はてっきりAB'S ファーストとセカンドの間でおかもっちがグリップを変えたのかと思ってたんですが,2006年に伺ったお話では,AB'S ファーストの頃は既にマッチド・グリップだったそうです(スペクトラム時代はレギュラー・グリップ)。となると,この音質の変化はスネアが変わったのか,エンジニアリングのせいなのか・・・? また新たなナゾが増えてしまいました・・・。AB'Sの初期のドラムセットのことに詳しい方,是非情報ください。
※ちなみに,AB'Sのスコアに写ってるおかもっちの写真はレギュラー・グリップです。^^;
3)「Rizmatic Juices」KARIZMA (Forever in the) Arms of Loveに収録・Dr.:カルロス・ヴェガ(Carlos Vega):ライナー・ノーツには,「レゲエのビートをステディに処理したミディアム曲」とあります。(なるほど,こういう表現を使えばよかったのね・・・。) バスドラを4ビートで入れて,スネアは3拍目のみ。ハイハットは2拍目は1度,4拍目はチッチッと2連にアクセントを入れてますが,テイストは2・4拍目に入れたエレピのバッキングが出してます。ハットは曲が進むにつれてバリエーションも。ソロ部ではソロに合わせて3連符も使ってます。
レゲエもしくはレゲエ・テイストの曲といっても,ドラムの入れ方はさまざまなようですが,いずれにせよ,この頃のAB'Sは特に,「新しいサウンドを作る」という気合を感じますが,ドラムにもそれをかなり強く感じます。
ところで,「軽過ぎない軽さが重過ぎなくて・・・」って歌詞を聞くたびに,「結局どういう重さなんだよぉ!」 とツッコミを入れたくなってしまうのは私だけでしょうか?(笑)