AB'S-2: Morning Dew
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このページでは,AB'Sのセカンドアルバム「AB'S-2」のMorning Dewでのおかもっちのプレイを見ていきます。
Morning Dew
Yoshihiko ANDO/ Naoki WATANABE
Key: F
Intro(1)-Intro(2)-Intro(3)-A-A'-B-C-(小間奏) - (間奏(drum solo/arpeggio)) --A-A'-B-C-D(Ending: fade out)
Sound
Intro(1)では,エフェクトの効いた繊細できれいなギターのアルペジオで始まります。このアルベジオがインスト部分のこの曲のモチーフですが,ここではまだ展開はありません。Intro(2)から他の楽器が入りますが,ギター,ベースでのかなり強烈なユニゾンによるキメの低音が,アルペジオにはない音を使っていて,この2種が合わさることで1つの新しいコード展開が浮き上がってくる構成:
Intro(1) レファソ
Intro(2) [ド]レファソ - [シ♭]レファソ - [ラ]ドミファ - [ラ♭]ドミ♭ファ- [ソ]ドレファ - [ソ♭]シ♭ドファ ※[ ]内がベース音(ギターもユニゾン)
という感じ(間違ってるかも。) うーん,なんともきれいなコード展開です(・・・といいつつ,コード表記がわからない!)。これをまた自己主張しない音色を中音域に入れてシンセがサポートしています。
Intro(3) では,歌部にふさわしい軽快なサウンドに変化。ベースが効いてます。Aメロ部ではまだIntro(1)の,いかにも「朝のまだけだるい,だけど心地良い」雰囲気が残ったゆったりしたメロディをしっかりアルペジオが支え,それをやや高めの音域でエレピがサポート。A'メロに入ると最初のみに低めのコーラスが入って低音をちょっとサポートする一方で,やや高音域でカッティング・ギターが入ってきます。そろそろ目が覚めてきたBメロ部では,ちょっと硬めの音でシンセが2拍目直前(16ビートでカウントすると4つ目)でその小節最後までしっかり響かせて,クリアなイメージを作っています。その一方で,Aメロ部のアルペジオに完全に取って代わった軽快なカッティング・ギターがや中〜高音域のところで入っていて,なんとも明るい雰囲気に。このギター,高音域に入ってくるキーボードと巧みに役割分担しながら,曲のコードとは違った構成コードを使っていて,いかにもAB'S!といった感じ。サビ部では高めのメイン・ボーカルを支える低めの(?)バッキング・コーラスが入ってきます。アルペジオがやや低音域に移って,高音域のエレピとの音域分担もきっちり。なんともポップでメローでロマンティックな仕上がり・・・と思ったこういう曲に,結構ハードなドラム・ソロを入れてくるんですよねー。(笑) しかも,アルペジオによるメローさとソロを交互に持ってくる・・・という展開にして,「ソロのためのソロ」にならないようにしてあります。エンディングは高音ギターと低音ベースのおっかけっこをバックにしてのボーカル。曲全体を通してのシブいベースもいいですが,この曲,このエンディングのギターがまためちゃくちゃいいんですよね。ということで,これまたAB'Sの代表曲の1つ。
Drum Performance
- Intro(2)
- ここは2小節単位。まず1小節目は1拍目でバスドラとシンバルでしっかりキメの迫力を作りながら,そのシンバルを1小節まるまる響かせて他に何も入れないことで,次の少し間を空けてギターを活かし,2小節目のアタマから16ビード(アタマは 32?)でハイハットを入れ,オープンで響かせてから2拍目内で一旦ハットのクローズし(このオープンを響かせてクローズする「間」の開け方が最高!),3拍目直前でタムを打った後,バスドラを4拍目直前に入れ,4拍目にスネアでまとめる・・・というパターンを繰り返します。なお,このハットを使ったフレーズはこの曲のフィルのモチーフのひとつになります。(シブいフィル・・・。)
- Intro(3)
- ここは,最初にシンバルを打ってから,そのシンバルの音が消えるまで待って,それからライド・シンバルで丁寧に細かくリズムを入れています。アルペジオに合わせながらも,完全にリズムを合わせるのではなく,フレーズが替わるところではライドを響かせないようにパターンを調整しています。最後のフィルはバスドラとスネアだけでシンプルですが,このスネア,Aメロではサイド・スティックになるので,結構インパクトあります。
- A/A'メロ部
- 右でしっかりクローズしたハイハットを繊細にシングルハンドで16ビート(チッチチ・チッチチにも聞こえる)で奏でつつ,左は2小節構成で1小節目と2小節目とでリズムを微妙に変えたサイド・スティック。1小節目では,最初のリム打ちが16で割ると2つめ(要するに最初のウラ)に入っていて,2小節目では3つめ(つまり8ビートで数えると2つめ(要するに2つめのオモテ)(<解説が意味不明・・・ ^^; ))になってます。ちなみにフレーズの繋ぎはおかもっち(というかAB'S)お得意の16ビードウラキメ連続。Bメロへのフィルは,スネアを使いながらも小節の最後まで打たずにハイハット・オープンで繋ぎ,Bメロ部1拍目から入るボーカルがきっちり聞こえるようにしています。
- Bメロ部
- リズムの雰囲気が変わります。左はちゃんとしたスネア打ちになります。バスドラはベースのリズムと合わせてますが,16ビートでカウントする最後のところで打つバスドラはゴースト気味にしてあって,直後に当たる次の小節の1拍目ではきっちりアクセントを入れてます。おかもっちのバスドラは音がでかいわりにタイトで妙な倍音みたいな音がしないのが特徴。この箇所はギターもストロークを響かせるのみといった薄めのサウンド作りに徹していて,ボーカルを活かしながら軽快な感じに仕上げてあります。フレーズの切れ目はスネア2発後ハイハット・オープンだけで繋げることで,次の小節のアタマにかからないようにしています。Cメロ部へのフィルもシンプル。
- Cメロ部(サビ)
- ここは2小節+4小節でドラムのパターンが変えてあります。最初の2小節は,コーラスのシンコペーションに合わせて3拍目直前にスネアを入れてアクセントをつける構成ですが,3拍目のバスドラがタイムをきっちりサポート。あとの4小節は普通に流しています(ハネ感はバスドラで出してます)。ここでのハイハットはペダル(音質の違いがBメロと比べるとよくわかります)。右ではライド・・・といいたいのですが,これ,ライドの音でしょうか? それにしては音がきれいすぎ!でも,スネアは左で入れるでしょうし,そうなるとやっぱりライドかなあ??? 同じライドでも,Intro(3)と打ってる箇所(カップに近いところかどうか,とか,スティックの角度等)が違うのかもしれません。フィルは1番ではまだおとなしめ。
- 間奏
- AB'S初期の曲で最もドラムの見せ場があるのがこの曲。 ここはちょっと丁寧にフィルを見ていきます。
1回目:まず,これまでイントロなどに使っていたハットを使ったフィル(この曲のフィルのモチーフのひとつ)を,2小節単位の2小節目最初から,1小節目3拍目にずらして入れています。ドラム・ソロに1小節まるっと使うためだと思いますが,そのイントロに「間」とこのモチーフを入れてくるところがおかもっち。その後も,オープン・ハイハットの響きが完全に消えるのを待って(つまりしっかり「間」を入れて),2小節目の3拍目直前から,フラム2発を絡めたフィルがようやく入ってきます。とにかく音数は極めて抑えてあります。
2回目:ほぼ1回目と同じ・・・ですが!2小節目の最初のフラムの入るタイミングが1拍早くなっています。元々「間」がしっかり空けた構成になっている上,フィルの音数自体はさほど変化させていないにもかかわらず,巧みにソロに使う時間を長くして,聞き手の興奮を無意識のうちに徐々に煽る感じにしてあります。
3回目:1小節目はもうハットはちょっと響かせるだけに。ここでは速いフラムによるタム流しとバスドラの組み合わせ。徐々に音数が増えてきました。
4回目:フィルの構成自体は3回目とほぼ同じですが,もうハットは入れていません。使用タムも変えてます。最後の方では,3回目はバスドラを使ってインパクトを弱めた箇所でしっかりタムを使って,次のソロへの前振りにしています。
5回目:1小節しっかり「間」を空けた後,ハイタムからフロアタムまで使っての速いフィルです。これって32分音符になるのかな? 最初6連符x4かと思ったのですが,もっと入っている気も・・・。スローで聴けばわかるでしょうか? (これ,ナマで見たい!!!!!!)
6回目:ここではまた,フラムとバスドラ中心の「間」を少し空けた構成に戻してありますが,フレーズの最後ということで,きっちり最後はスネアのフラムで合わせて締め,雰囲気の戻る小間奏に,既にハイハットで繋げて備えています。おかもっちのドラムの構成ってほんとに丁寧ですよね。それぞれ,1小節目の「間」のところでは入れてないペダルによるハイハット,タムでのフィル部ではきっちり入れてタイム・キープもしてます。
- 2番Cメロ部
- 基本的には1番と変わりませんが,前半部分,1番では2小節+4小節構成だったのが,2小節+2小節+2小節構成に変えていて,この3つめの2小節(つまり5小節目・6小節目)はまるまる長いフィル・・・っぽくなってます。4小節目の最後のバスドラのパターンを変えて前振りしておいて,5小節目は1拍目にスネアとシンバルを入れ(これ,かなりインパクトあります),そのまま流しておいて,フレーズの切れ目でちょっと派手目にタムを連打。後半は逆にエンディングに入る直前までそのまま流しているので,その前にきっちりメリハリをつけておいたという感じでしょうか? なお,エンディング前のフィルは1小節に渡るタム連打ですが,この連打の前のライド・シンバルをしっかりアクセント入れて打って,シンコペ効果も出してます。
- Ending
- エンディングに入ると右によるライドのパターンが,8ビートでのウラのみのアクセントだったのが,「・チ・チチ・チ・チ」になります。下線部のアクセントがこれまたシンコペ効果。繰り返し部からは左によるハイハットの味付けが加わります。
Something Extra
この曲は,とにかく雰囲気が凄くいいですよね。まだ起き抜けの眠そうなちょっぴり気だるい感じから,朝日が注ぎ込んで鳥のさえずりが聞こえるようなカッティング・ギターにかわる展開,けどCメロ部ではちょっと慌てて支度してるような感じもあって(笑),なんだか短いドラマを見ているような感じを受けます。「ロマンティスト・渡辺直樹」(決めつけている)らしい曲ですよねー。
そんな中で,おかもっちのドラムもいい雰囲気出してます。おかもっちのドラムというと,ライブで聞くと迫力があるので(音がやたらでかい!),パワフルな印象を受けますが(まあほんとにそうなんだけど(笑)),実際には細かい配慮に溢れていてめちゃくちゃ繊細。叩き捨てるような音が一切なくて,総ての音が丁寧で,アクセントの入れ方,間の入れ方など,ほんとにリズム変化のつけ方が多彩かつ巧みで,しかもそれを全然目立たないところでやってます。この曲でもそんなおかもっちなドラムをばっちし楽しめます。
この曲ももっかいライブでやって欲しーい!!!!! そしてDVDで残しましょうよぉーーー!!!(そしたらもう毎日見ちゃう!)
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