Peanuts FAQ: 3. 平日版コミック (9) 同じオチ?

原著者: デリック・バング(Derrick Bang)
和訳:PFJW(Peanuts FAQ Japanese Workshop)

Last Update: Oct.1,08

3.9) このオチ,前にも見たことがあったような気がするのですが?

(訳: Charn)
(一時更新: 11/26/2006)

チャールズ・シュルツ氏は, 1950 年にピーナッツが始まってから 16,000 本以上のコミックを描きつづけ,たくさんのギャグやエピソードを生み出しました。そのため,何十年もの間に何度か同じアイディアが浮かんでしまうことは避けられない事でしょう。また,これほど多くのコミックのネタを完璧に覚えていられる人もいないことでしょう。だから,そうなんです,少しですが中には,ネタがダブったものもあるのです。以下にそれを紹介します。(多くが,ティム・チャウ氏 (Tim Chow) とマーシー・リー氏(Marcie Lee)によるものです。)

危機一髭?

小さな少年たちはみなひげをそりたがっているのでしょうか? 彼らはまだ気付いていないに違いありません。一旦ひげを剃り始めたら,もうやめられないということを・・・。

いずれにせよ,1951 年 2 月 23 日のコミック(本に収録されました・・・とはいえ,Peanuts: The Art of Charles M. Schulz にとても小さくですが)で,チャーリー・ブラウンが彼の顔を鏡でじっと見て,それからバイオレットに「ただのチリだったよ・・・でも一瞬ひげを剃らないといけない!って思った瞬間は興奮したんだ。」と報告しています。

何年か経ち,1959 年 7 月 15 日のコミックで(Go Fly a Kite, Charlie Brown に収録),このギャクを言うメンバーは変わったものの,はやり同じものが出てきます。ライナスが手鏡で自分を見て,小さなちりがついているだけだったと結論づけて姉のルーシーにこう報告するのです。「ひげを剃らないといけないのかと思って一瞬興奮したよ。」

捕食性スプリンクラー

ワシのように鋭い目を持つマーシー・リー氏がこれを見つけました。 1952 年 6 月 18 日の平日版のコミックで,スヌーピーは,まだ好奇心旺盛な子犬で,チャーリー・ブラウンが庭のスプリンクラーの栓を止めたらぎょっとしていました。1952 年 6 月 18 日の平日版のコミックです。

この出来事でスヌーピーはもう学んでいると思ったら,明らかにそうではありませんでした:彼は 1953年 5 月 19 日の平日版(More Peanuts に収録)でも同じようにくぎづけにされました。この 2 つのコミックの最後のコマはかなりよく似ています。

結婚についての沈思

ジム・ダンキーウィッツ(Jim Dankiewicz)氏のこの発見は,握手するに値するものです。1953 年 1 月 26 日のコミック(最近,コンプリート・ピーナッツ(Complete Peanuts) 第 2 巻で再版)で,バイオレットがチャーリー・ブラウン夫人として将来生きていく可能性があるかを熟考し,ついに「だめだわ,全然わからないわ。」と言ってあきらめます。

かなりしばらく経って,The Peanuts Treasury や,As You Like It, Charlie Brown に掲載されている 1963 年 10 月 2 日のコミックで,サリーが5(ファイブ)と会った後,自分が「サリー・95472 夫人」となることを空想するという同じような架空ゲームをします。そして,結局同じ結論に達します:「わからないわ。」

恥ずかしくて頭(こうべ)をたれる

マーシー・リー(Marcie Lee) 氏は,これら 2 つのコミックも見つけました。コミック初期の頃,チャーリー・ブラウンはまだスヌーピーをちょっとばかりきつく叱ることができました・・・しかし世界で最も有名なビーグル犬はまだそれにあまり我慢はできませんでした。1954 年 3 月 31 日の,まだ単行本未収録のコミックで,スヌーピーは,チャックの「恥じて頭を垂れてみろよ!」という説教に対し,居眠りすることで応えています。

それからずっとずっと後,1986 年 5 月 23 日のコミック( By Supper Possessed に収録)で,ペパミント・パティが学校で同じことをするはめになりました。

スヌーピーの器用なタッチ

疑う余地はありません:スヌーピーは才能にあふれたビーグル犬です。1956 年 5 月 23 日の平日版のコミックで(Peanuts に収録),彼はシャボン玉を追いかけると,それを壊さないように口にくわえてチャーリー・ブラウンのところに持ってくる,という巧みな技も見せます。

完全に同じわけではありませんが,1998 年 6 月 22 日の平日版のコミックがこれとよく似ています。ここでは,スヌーピーはリランのためにシャボン玉を追いかけます。世界的に偉大なこのビーグル犬が未だにこのタッチを失っていないところを見るのはステキですね!

なんて何年もの間!

オーストラリアのデヴィッド・ヘズリン(David Heslin) は,これで功績が認められます。1956 年 3 月 23 日の平日版コミック(It's Back to School, Charlie Brown に収録)で,ライナスが,学校を出る頃までには自分はもう「おじいちゃん(old man)」になってしまうという事実について嘆きます。

それからずっと,ずっと何年も経って,1996 年 7 月 2 日の平日版(The World According to Lucy に収録)で,今度はリランが,自分が学校から開放される時までには「おじいちゃん」になってしまう,と嘆き悲しみます。

法的な問題

日本の熱烈なPeanutsファンである"うさぎ(Usagi)" がこれを見つけました。

1956 年 10 月 30 日のコミックで(Good Ol' Charlie Brown に収録),ライナスはまもなくやってくるハロウィーン(Halloween)での活動についてルーシーと話します。ルーシーはライナスに「いたずらかおごり (訳注:"Trick or treat" 「ごちそうくれなきゃいたずらするよ」: ハロウィーンの晩子供たちが近所の各戸を訪ね,お菓子などをねだる行事)の性質を説明しますが,ライナスはその活動が安全なものかどうかを確信したくて,この慣わしに違法性がないかと疑問を投げかけ,次のようなセリフで終わっています。「ボクはFBI を刺激するようなことは何一つするつもりはないからね。」

どうやらライナスはあまり記憶力が良くないようです。このわずか数年後である1959 年10月30日(Go Fly a Kite, Charlie Brown に収録),彼はまた同じような会話をルーシーと交わし,次のセリフで終わっています。「ボクはもめごとに参加して告発されるのはごめんだからね。」

毛布の災難

ルーシーは,ライナスが毛布を持ち歩くようになってからずっと,何度も何度も彼に毛布から卒業するように言い続けてきました。ほとんどの場合ライナスは,ルーシーのイヤミな批評を受け流せますが,しばしばそれに反応して髪を逆立てます。現時点ではまだ未収録である1958 年 6 月 23 日のコミックで,ルーシーは彼が十中八九残りの人生ずっと「そいつ」を引きずることになると文句を言います。「うーん,それが姉さんにとって何だって言うの?」と,ライナスは答えます。「多分ボクは残りの人生ずっとこれを引きずってるなんてことないさ。」彼は 3 つめのコマで黙ったまま感情を爆発しそうにし,最後に「多分これをスポーツ・コートに作り変えさせるよ!」と付け加えます。

それから数ヵ月後の 1958 年 9 月 17 日に,チャーリー・ブラウンは,同じ話題を,ただしもっと思いやりをもって取り上げます。「キミは大きくなって毛布を引きずれなくなったらいったいどうするつもりなんだい?」と,チャーリー・ブラウンが尋ねると,ライナスが「さあね。」と答え,こう続けます。「ボクは真剣に,こいつをスポーツコートに作り変えてもらうことを考えてるところなんだ。」

公正に言えば,これはシュルツ氏の中ではうっかりミスというよりは連続ネタに入るのかもしれません・・・しかし,これはまた,これから起こることの兆候とも言えます。なぜなら,後に,スヌーピーが実際に彼の毛布をスポーツコートに仕立てさせてしまうからです!

熱い毛布の災難

そして,また,ルーシーは時々彼女の弟をひどく苦しめます・・・おそらく意図的に悪意を持ってやっているわけではないのですが。1959 年 2 月 16 日のコミックで,彼女はライナスが毛布を探していると,彼に毛布をやさしくポイと投げます・・・しかし,次に彼は痛そうにカオを歪めて叫びます:「やけどしちゃったよ!」すると,ルーシーが言います(そう,その通り!):「ああ,言うのを忘れてたわ。ちょうど乾燥機から出したばっかりだったのよ。」

これから随分あとになって,1984 年 1 月 13 日のコミックで(The Way of the Fussbudget is not Easy に収録),ルーシーは同じようなイジワルないたずらをします。「私があなたのために何もしないなんて言わないでね」というセリフでこのコミックは始まります。次に,こう続けます。「あなたに乾燥機から出して毛布を持ってきてあげたわよ。」  3 つめのコマで,ルーシーが「気をつけてね。それはまだ少し・・・」と,ライナスが最後のコマで引っくり返る前に言うのですが,それは 1959 年に彼女がしたこととよく似ています。そして最後に,既に必要のないことながら,「・・・熱いわよ」という言葉で締めくくります。

スヌーピーの首尾一貫性

「だからここで新年をスタートさせるのさ」と,スヌーピーは 1960 年 1 月 2 日付けの平日版のコミックでつぶやきます(Go Fly a Kite ,Charlie Brown に収録)。)自分の人生は変化に乏しいと数コマあれこれと考えた末,こう結論付けます。「ときどき自分のこの首尾一貫性には驚くよ。」

シュルツ氏はそのギャグを気に入っていたに違いありません。というのは,彼はこのほんの数年後,1962 年 12 月 31 日の平日版のコミックで,同じオチを繰り返しているからです。(You Can Do It, Charlie Brown に収録。) 「今日は 1 年の最後の日だ。」スヌーピーはちょっと考え,この一年も他の年と同様,特に大して何もなし遂げたものがなかったことに気付き,最後に尋ねます。「こんなに首尾一貫になれるもんかね?」

「ボクの生活は退屈になってきたなあ。」

マーシー(Marcie)が次のネタを見つけてくれました: スヌーピーはどうやら運動と刺激が必要なようですが,誰がそれを責められましょう。世界的に有名なビーグル犬が犬小屋の屋根の上で多くの時間を過ごしているのですから。「ボクの人生は退屈になってきたなあ」と彼は,1961 年 1 月 25 日のコミックでつぶやきます(It's a Dog's Life, Charlie Brown に収録)。「明けても暮れ てもすべてのものがおんなじだ。ボクに必要なものは変化だ。」 というスヌーピーは,最後のコマで,いつも足を向けていた方向に頭を向けて寝ています。

そのほんの数年後の 1962 年 3 月 10 日,彼は再び考えます。「ボクの人生は退屈になってきたな。見るものも全て前に見たのとおんなじだ。ボクは新しい地平線に顔を向ける必要があるな。」そして彼はそうしました・・・また逆方向に頭を向けたのです。

騒音の中のエア・ポケット

私たちはみんな,ルーシーが本当に口やかましいことを知っていますが,ときには彼女自身の基準から見ても自分が手におえなくなるってこともあります。1961 年 5 月 28 日の日曜版のコミックでは(We're Right Behind You, Charlie Brown に収録)ルーシーはライナスが声を限りにして歌を歌い,テレビを大きなボリュームにして見たりして,明らかに人生を最高に楽しみながら家の中を歩き回るのをいやがります。コミックの後半では,ライナスが台所にいって自分のために 「バターサンドイッチ」 を作り始めますが,ガミガミ屋の姉が見ているのに気付くと,彼はいやみっぽく尋ねます。「ボクがバター塗る音,うるさい?」

最近では,可哀想にリランがルーシーの主たるターゲットになってきています。しかしこの弟たちが二人とも同じ様な防御策を考えつくなんておもしろいですね。1998 年 8 月 5 日の平日版(単行本未収録) [訳注:日本では角川書店 A Peanuts Book featuring Snoopy #24 に収録] では,ルーシーがリランと朝食を食べていますが,幼いリランは,自分の経験を姉と分かち合いたくて話をします。ルーシーはそんなことは思っていないので,「いつもうるさくしてなきゃ気が済まないの?」 と聞きます。なんとかうまく言い返せないものかとひとコマ分考えたあげく,リランはパンにバターをぬる作業にもどってこう言います。「バター塗る音,大き過ぎる? 」

ただ,これが特に繰り返されたのはかなり意図的であったのは確かです。というのは,このオチはシュルツ氏の娘であるエイミー (Amy) が,ずっと何年も前,まだ彼女が 3 歳になったときに言った言葉だと言われているからです。これを立証するには,1998 年 8 月 5 日のコミックの最後のコマにあるメッセージを見るといいでしょう。端の方に「誕生日おめでとう,エイミー("Happy Birthday, Amy")」 と書かれています。

親しき中にも礼儀あり

さあ,私たちはみなくだらないものには飽きてしまいますよね。まだ単行本に収録されていない 1962 年 8 月 17 日のコミックで,ライナスは親指しゃぶりをしながら,ちょっとばかり不満そうな表情であれこれ思いを巡らせます,「親指がくさっちゃうなんてことあるのかな」って。

それから約4年後,1966 年 3 月 1 日のコミックでは(The Unsinkable Charlie Brown に収録),ルーシーが通りすがりに,また彼の親指にしかめっ面をして言います 。「親指ってくさらないのかしら?」

「随分ささやかな集会」

チャーリー・ブラウンの妹のサリーは,生まれたばかりの頃,みょうちくりんな事や楽しいことに対し,極めて感受性がするどい赤ん坊でした。1963 年 2 月 8 日付けのコミックでは,(これは You Can Do It, Charlie Brown に収録) 彼女は兄が両手を使って 「ここが教会,ここが尖塔,ドアを開けてごらん,ほ〜ら,こんなに人がいる!」 とわらべ歌遊びを説明するのを一生懸命見ています。そして,注意深く彼の閉じられた指を確認した上で,サリーはこう言うのです : 「随分ささやかな集会ね!」

4 年後,1967 年 4 月 8 日付けのコミックでは,(これは You're Something Else, Charlie Brown に収録),サリーはライナスが同じわらべ歌を歌っているのを見ています。そしてほとんど全く同じ反応を見せます:「なんか,ささやかな集まりねえ。」

忠誠の誓い

学校に入学後,サリーは毎日授業を始める前に,アメリカの国旗への忠誠の誓いを義務付けられます。 1963 年 9 月 11 日付けのコミックでは(As You Like It, Charlie Brown に収録),サリーは机のところに立って誓いの言葉を初めから終わりまで唱えます。そして,3 コマ目で席につきますが,4 コマ目で再び席を立ち,心をこめて 「アーメン!」 で締めくくります。

約 4 半世紀後の 1987 年 9 月 16 日付けのコミックでは (If Beagle Could Fly に収録),ペパーミント・パティが机のところに立って(前出と同じく)忠誠の誓いの言葉を唱えます。その後 3 コマ目で極めて満足げな顔で席に座りますが,4 コマ目で再びぱっと立ちあがり,「アーメン!」 と心をこめていいます。

錆びた足

このダブりを思い起こすにはよほど記憶力がよくないといけません。というのは,問題となるコミックは両方とも単行本に収録されていないからです。1966 年 1 月 24 日の平日版で,スヌーピーは毛皮の帽子のしっぽをなびかせて冬の氷の上をすべり,突然スリップして見事にぶつかり,ひっくり返ります。スヌーピーは内心「やれやれ」と思いますが,気を取り直し,後ろ足を怪訝そうにながめて言います。「ボクの足,研いでもらわないといけないや。」

このオチはなんと同年また出てくるのですが,その次の冬のことです。1966 年 12 月20 日の平日版でスヌーピーは,同じ毛皮の帽子をかぶり (ただしスカーフがアンサンブルに付け加えられて),またもや凍った池でスケートをしました。そこで彼はまた転び,今度は背中で着地し,また私たちはこのセリフ : 「ボクの足,研いでもらわないといけないや。」 を読むことになるのです。

深刻な雪不足

これは,皆さんが目にする可能性のあるオチの中では最も完璧に同じものの繰り返しがあったもので,これはとりもなおさず古典的なオチがリバイバルに耐えうるものであることを証明しています。1968 年 12 月 27 日の平日版で,ライナスとルーシーが穏やかな雪の降る中を歩いていると,ついに雪はやんで雪片が消えてしまいます。「私ちょうど思ったとこなんだけど」とルーシーが例によって 「誤ったことを知ったかぶり」 の表情でいいます。「そのうちこうなると思ってたのよ...雪をきらしちゃったのね!」そして,最後のコマでライナスが,まるで何のことだか分からないといった表情を見せるのです。

しかし,彼は明らかに姉の考えかたに同調するようになります。1998 年 12 月 5 日の平日版のコミック・・・約 30 年も後になって・・・ライナスが,雪に積もった原っぱに立っていると雪がゆっくりと降り止みます。「ちぇっ」 ライナスはいいます。「いつかこうなると思ってたんだ。」 後ろからやってきた姉は,明らかにずっと前に自分が教えこんだ知識を忘れて,「どうかしたの?」 と尋ねます。ライナスは,再び空を見上げながら答えます。「雪をきらしちゃったよ。」

ピアノのところにいるスヌーピー

1968 年 12 月 30 日の平日版(You've Had It, Charlie Brown に収録)で,スヌーピーはシュローダーのピアノに近づき,片足でポロンとピアノを奏で,かなり面白い結果を得ます。普通の丸い音符の代わりに,足跡の形の音符が楽譜に現れるのです。

このギャグは数年後にまた出てきました。今度も平日版のコミックで,1974 年 1 月 12 日のものです。(Win a Few, Lose a Few, Charlie Brown に収録。) スヌーピーが誰も見ていないか確めるようなちょっぴりアヤシげな表情を見せたのを除くと,このふたつのコミックはほんとにそっくりなのです!

しかし,このどちらも,さらに古い 1960 年 3月 10 日の平日版(Go Fly a Kite, Charlie Brown に収録)のバリエーションなのです。このときは,シュローダーがピアノを弾いているときにスヌーピーがピアノの上にすわりはじめ,それから,我らがベートーベン狂いのシュローダーがその場面から姿を消した後に自分で弾こうとします。最終的にはその「調べ(楽譜)」はちょっぴり奔放な形にはなりますが,基本的なアイディアは同じです。つまり,このオチについては 3 度出てくるのです!

ファッションに関わる意見

日本の熱心なピーナッツファンである"うさぎ(Usagi)"がこれも見つけてくれました。「時々ぼくらはばかなことをするもんだ。」 1971 年 7 月 13 日のコミック(The Snoopy Festival に収録)でスヌーピーがつぶやきます。「そしてそれを決して忘れることはない。時にはぼくらは賢くもなる。」 「ボクは自分が今までしたことでもっとも賢かったことのひとつを忘れられないね。」 彼は結局こう結論付けています。「ネール・ジャケット(訳注:ビートルズのメンバーも着用したことがあるスタンドカラーの細身のジャケット)を買わなかった事さ。」

それからしばらくたって,1979 年 12 月 15 日のコミック(Here Comes the April Fool に収録)で,ライナスとチャーリー・ブラウンがやはり賢いこと,おろかなことについて似たような話をします。チャーリー・ブラウンの報告によると,彼のおじいちゃんが最も賢かったこととしてあげているのが 「ネール・ジャケットを買わなかったこと」 なのです。

ぼんやりした雪だるまたち

ライナスはずっと才能に満ち溢れています。1975年1月6日の平日版のコミックでは(Speak Softly and Carry a Beagle に収録),彼は雪だるまをサカサマに作りました。しかしながら,チャーリー・ブラウンにその完成作品を披露する間に,ライナスは「雪が全部頭に逆流してっちゃう」と気付きます。

そして,ルーシーも同様のことがありました。およそ 10年後に当たる1984年1月7 日のコミックでは(The Way of the Fussbudget Is Not Easy に収録),彼女は雪だるまを作り,それをチャーリー・ブラウンに見せますが・・・最後の2コマのセリフは全く同じなのです!

必要は発明の母

悪天候は私たちが持っているとってもいいものを引き出してくれます。1976 年 4 月 4 日の日曜版で(Summers Fly, Winters Walk に収録),ひどい雨のとき,スヌーピーがウッドストックの巣のところに急いでいき,我らがかわいい小鳥の友が濡れないように,その巣をひっくり返します(ウッドストックは巣の中に入ったままで)。(明らかに,重力は問題にはなりません。)

そして,このことがウッドストックのためになったと言えるのです:彼はここで学んだのです。1979年10月27日のコミックで(Here Comes the April Fool に収録),またまたひどい雨が降ってきてスヌーピーの小鳥の相棒はずぶぬれになる危険にさらされます。しかし,彼は今度は自分で!巣をひっくり返したのです!(率直に言って,彼がどうやってひっくり返すか,実に見ものだったろうなと思います・・・。)

理論的なテロリズム

我らの友人ジュリアン(Julian)がこれを見つけるという功績を成し遂げました:

チャールズ・シュルツ氏は何年にも渡って,宗教的な議論の間,「唯一の真実の道」への有利な立場を主張した人には我慢なりませんでした。このことで彼は宗教的な話題は注意深く取り扱うことになり,繰り返しのオチを使った疑問に繋がりました。

1976 年 8 月 9 日のコミックで,スヌーピーは彼の新しい神学本のタイトルを,「あなたは,自分が間違っているかもしれない,と思ったことはありますか?」にしようと決めます。

数年後,サリーが彼女が開式に選んだ祈りについて討議リーダーに恥をかかされるという事件に続く 1980 年 6 月 20 日のコミックで,ライナスがその人物に次のような質問をして挑戦します:「あなたはご自分が間違っているかもしれないと思われたことはありますか?」

全く同じ状況とは言えませんが,意味は全く同じです。他のところと同じように,どちらのコミックも And the Beagles and the Bunnies Shall Lie Down Together に収録されています。

編集者のような郵便受け

何年にも渡ってスヌーピーは 「偉大なアメリカの小説」 を書こうとする欲望をあらわにしてきました。しかし,不運にも編集者と出版社の多くはほとんどジャマしかしません。(まあ,ルーシーが時折読み上げる一節を見る限り,これはまあ賢明な選択かもしれませんが。) 1980 年 4 月 18 日の平日版のコミックは,おそらくたいへんな屈辱をもたらしたものです(Dr.Beagle and Mr. Hyde に収録。)そこでは,「世界的に有名な文豪」 が最新作の小説を,地元の郵便ポストに投函しますが,ハッチが閉まるやいなやそのポストは原稿を吐き出します。「とっても注意深く読んでくれてるとはちょっと信じがたいね。」 スヌーピーは思います。

このギャグは 1997 年 4 月 23 日付けのコミックで再登場しました(単行本にはまだ収録されていません)。[訳注:日本では,角川書店 A Peanuts Book featuring Snoopy #21 に収録] ここでは,スヌーピーは最新の著作を完成させ,「拝啓,私の短編の最新作を同封します」 という手紙を添えて,小説を郵便ポストに持って行って投函します・・・が,そいつはまたしてもその小説を放り出します!(他にも「偉大な作家スヌーピー」について扱っている項目が下にあるので見てください。)

グラウンド・ボーイ

チャーリー・ブラウンが野球をしているときに耐えている苦痛は誰でも知っていますが,こんな苦痛に2 度以上さらされるのではたまったものではありません 。1981年 4 月 8 日 の平日版 (You're Weird, Sir に収録) で,チャック (Chuck) 【訳注:ペパーミント・パティがつけたチャーリー・ブラウンのニックネーム】 は雨が降り始めたのに気付きます。彼は画面上には登場しないグラウンド・ボーイに大声で叫び,「防水シートを広げて内野にかぶせるんだ!」 と命令します。最後のコマで,風景上ではただのこぶと化した防水シートの下の彼は言います。「ずいぶん素早いね。」

このギャグは,1987 年 9 月 20 日の日曜版のコミックでまた登場します(If Beagles Could Fly に収録)。 チャーリー・ブラウンは2人のボランティア--つまり,ル ーシーとサリー--を呼んで防水シートを見せ,雨が降り始めたらすぐに走っていて内野とピッチャーマウンドにかぶせるように指示します。「忘れちゃいけないよ」 チャーリーは最後にこういいます。「素早くやるんだ。」 雨粒が彼の頭に当たったため,彼は防水シートをかぶせるようにいいます。最後のコマでは,またまた隠れて姿が見えなくなったチャーリーが嘆きます。「ちょっと素早すぎるよ。」

幸運をいっぱい!

ペパミント・パティと学校がうまくやっていけず,彼女はおそらく毎年恒例の夏の終わりの行事--すなわち,文房具の購入に,よく言っても複雑な感情をもって取りかかります。1981年9月4日のコミック(You're Weird, Sir に収録)で彼女は,いつもの文房具を買い,そのあと他に必要なものがないかと聞かれたとき,「幸運をいっぱい」と答えます。

このネタは再び 1988 年 9 月 2 日(Could You Be More Pacific? に収録)で,ほとんど同じような感じで登場します -- ペパミント・パティが手に購入リストを持ってお店に訪れますが,その最後の購入品が「・・・幸運をいっぱい」でした。

高所恐怖症

可哀想なチャーリー・ブラウン! 1983 年 5 月 30 日の平日版(I'm Not Your Sweet Babboo! に収録)で,彼は買った凧が 「高いところがコワイ」 という理由でその凧を店に返しに行く羽目になります。

1999 年 3 月 4 日のコミックでは(Peanuts 2000 に収録),彼はどんな凧があるかな,とよく調べて,「高いところを怖がらない凧」 をたのみますが,そこが前とは違う店だったらいいなと誰もが思います。

晴天の音楽

ウッドストックはなんて運が悪いんでしょう。ウッドストックが 1983 年 6 月 11 日の平日版コミック(I'm Not Your Sweet Babboo! 収録)で,ウッドストックの楽しい歌声は突然の豪雨のなか,音符が流れてだめになってしまいます。(だから彼は声がなくなってしまったのでしょうか・・・ 。)

同じような出来事が再び,1984 年 11 月 27 日のコミックの中で起こります(The Way of Fussbudget Is Not Easy に収録)。ここでは,突然の豪雨で音符がまるでタフィー (訳注:バター・ナッツなどが入ったキャンディ) のようにのーびー てー しーまーいーまーす。全く同じオチではありませんが,ここでご紹介するのに十分ふさわしいでしょう。

水の要求

犬を飼っている人は誰でも,犬というのはいつでも喉が乾いているものだとご存知ですね。スヌーピーも例外ではありません。明らかに我らが愛すべきこのビーグル犬は 1985 年 5 月 9 日の平日版コミック(Dogs Don't Eat Dessert に収録)で見られるように,水が欲しいとなると必死になります。そこでは彼は水道管を蹴っ飛ばし,面白い結果に終わります。

このギャグの変形 -- ほとんど続編といってもいいでしょう -- が 1990 年 4 月 16 日のコミックで見られます(Make Way for the King of the Jungle に収録)。 そのとき,スヌーピーはまた水道管を蹴っ飛ばしますが,結果はちょっと違っています。

そして,鋭い目を持ったティム・チャウ(Tim Chow) 氏は,どちらのコミックも 1963 年 5 月 19 日の愛嬌のある日曜版コミック (We're Right Behind You, Charlie Brown に収録) から,いわば 「モーフィング」 させたようなもの (訳注:徐々に変化 させたもの)である,と指摘しました。明らかにスヌーピーは相当長い間水を飲 もう ともがいているようです・・・。

やつらに懇願させろ!

かわいそうなスヌーピー。彼は単にツイていないだけなのに! 1987 年 6 月 11 日(It Doesn't Take Much to Attract a Crowd に収録のコミック)に,今後投稿はもうしないで欲しい旨の手紙といっしょにスヌーピーの原稿が返却されて来ます。それには,「お願いします!お願いします!たのむからお願いします!」と書かれており,「編集者が懇願するのを聞くのは大好きさ」とスヌーピーは最後のコマでつぶやくのです。

このネタはほとんど同じ状態で 1996 年 1 月 20 日に登場します(The World According Lucy に収録)。このコミックが4コマものではなく3コマ編成になっていることと,スヌーピーが木にもたれかかってではなく,犬小屋の上にいる絵で終わっているのを除いては,全く同じなのです!

開かなかった聖書

1990 年 12 月 15 日のコミックで(まだ単行本に収録されていません),ルーシーがライナスに,翌日日曜学校に行くかどうかを尋ね,彼がその前の週は行かなかった事に触れ,先生が理由を聞きたがっていたということ告げます。「聖書のジッパーが開かなかったんだ」とライナスは答えます。

それから間もなく,このギャグはルーシーとリランという組み合わせでもって 1998 年 4 月 5日の日曜版で現れます(It's a Dog's Life, Snoopy に収録)。日曜学校に着いてから,リランは彼は自分の朗読部分を勉強できなかったと嘆き,その理由として,「聖書のジッパーが開かなかったんです」答えました。


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