Peanuts FAQ: 8. 音楽 (2) ヴィンス・ガラルディのピーナッツの曲のカバー

原著者: デリック・バング(Derrick Bang)
和訳:PFJW(Peanuts FAQ Japanese Workshop)

Last Update: Oct.1,08

8.2) ヴィンス・ガラルディ(Vince Guaraldi)によるピーナッツの曲をレコーディングしたアーティストはいますか?

(訳:ミセス・フィールド)
(更新分:Pea)

はい,もちろんです。

一番新しくて,ある意味では一風変わっているのがサイラス・チェスナット (Cyrus Chestnut) による,アルバム "A Charlie Brown Christmas" (Atlantic 2A-83366) の全曲カバー版です。バネッサ・ウィリアムズ (Vanessa Williams) やブライアン・マクナイト (Brian McKnight) そしてマンハッタン・トランスファー (Manhattan Transfer) らのゲストと一緒に,チェスナットはガラルディ・アルバムからのオリジナル・カットの一つ一つを自分なりの解釈で演奏しており,自らのオリジナル・ナンバーも二つほど収録しています("Me and Charlie Brown" と "Baby Dance")。

2000 年にはまたデヴィッド・ベノワ(David Benoit)の "HERE'S TO YOU, CHARLIE BROWN: 50 GREAT YEARS" というアルバムが GRP からリリースされました(314 543637-2)。このアルバムには 10 曲ふくまれており,うち 7 曲はガラルディ氏によるものです。(残りの3曲のうち 1 曲,クラーク・ゲスナー(Clark Gesner) の”Happiness"は,「君はいい人,チャーリー・ブラウン」 から,もう 2 曲は,デヴィッド・ベノワのオリジナル曲ですが,どれもガラルディ氏のピーナッツ・スタイルを受け継いでいます。非常に興味深いのは,アルバムは,魔法のようなミキシング技術のおかげで,デヴィッド・ベノワ・トリオがガラルディその人と組んでその場で演奏しているかのような「ライナス・アンド・ルーシー」 の曲で始まるということです。ベノワとベースのクリスチャン・マクブライド(Christian McBride),それにドラム・パーカッションのピーター・アースキン(Peter Erskine)の他には,特別ゲストとしてマーク・アントワン(Marc Antoine),ラッセル・マローン(Russell Malone),クリス・ボッティ(Chris Botti),マイケル・ブレッカー(Michael Brecker)そしてアル・ジャロー(Al Jarreau)が参加しました。大変楽しく,「味わいのある」アルバムに仕上がっています。

おそらく,最も人気があるのは,コミックの誕生 40 周年記念と同時に GRP からリリースされた"HAPPY ANNIVERSARY, CHARLIE BROWN"(GRD-9596) です。これは,テレビスペシャル "You Don't Look 40, Charlie Brown" で初めて耳にしました。これは,クラシックとも言えるガラルディの曲と,デイヴ・グルーシン(Dave Grusin)やデイヴ・ブルーベック(Dave Brubeck)作曲によるインストゥルメンタルの新曲がいくつかという素晴らしい組み合わせで,B.B. キング(B.B.King),チック・コリア(Chick Corea),ジョー・ウィリアムズ(Joe Williams),ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan),リー・リトナー(Lee Ritenour),そしてケニー・G(Kenny G)のようなジャズの巨匠達が演奏しております。

デヴィッド・ベノワの演奏する「ライナス・アンド・ルーシー」 は,CD"THIS IS SIDE UP" (En Pointe, ENP 0001) に収められていますが,同じものが上述のCD "HAPPY ANNIVERSARY" にも入っています。【訳注:実際には同じバージョンではないそうです。ギタリストが違う上,ベノアのピアノも随分違うのだそうです。】

「ライナス・アンド・ルーシー」 という曲は,ほかにいくつかの CD でも聴けます。アコースティックギタリスト,スティーヴン・キング(Steven King) は,自費製作の "LET IT RING" にこの曲をおさめています。問い合わせ先: P.O.Box 1557, ワシントン州,レントン,98057-1557: (206)226-4515 価格はおよそ 17 ドル。

トリオによる素敵なジャズ・バージョンの 「ライナス・アンド・ルーシー」 が,RCA からでているクラシックを主とした CD 「シュローダーズ・グレイテスト・ヒット( SCHROEDER'S GREATEST HITS)」 におさめられています。ベートーベンとモーツァルトを混ぜ合わせたようなケン・ビッチェル(Ken Bichel)のピアノ,そしてベースが ジョン・ミラー(John Miller),ドラムに ロニー・ジットー(Ronnie Zito)です。

同じジャズバージョンで,アンドリュー・ヨークの 「パーフェクト・スカイ(PERFECT SKY)」 (Artifax #789),リック・エルドリッジの 「ソロ・フライト(SOLO FLIGHTS)」 (Pentagram Records, #001),エリック・カンゼルとシンシナティ・ポップスのアルバムにはジョン・コリアーニ(John Coliani : ピアノ),ジョン・リーサム(John Leitham : ベース)そしてダニー・オズボーン(Donny Osborne : ドラム)によるトリオ演奏の 「ヤング・アット・ハート(YOUNG AT HEART)」 (Telarc Records, #80245),それにゲーリー・ホーイ(Gary Hoey)は映画 「エンドレス・サマーU(ENDLESS SUMMER II)」 のサウンドトラック盤(Reprise, #45615)のロックギター・バージョンを発表しています。

オレゴン,ポートランドの Tall Jazz (キーボード:Mike Horsfall,ドラム:Kurt Deutscher,ベース:Dan Presley) は,1993年の HOW 'BOUT NOW (PHD1002-CD) で,The Red Baron のすばらしい演奏をしています。西海岸以外では,なかなかこの CD には,お目にかかれません。問い合わせ先 Tall Jazz (503)232-5346。

また,3 人のジャズマンが,テレビのミニシリーズ THIS IS AMERICA, CHARLIE BROWN で,個別のエピソードのための曲を集めたサウンドトラックのカバーをリリースしました。その一つ目が,デイヴ・ブルーベックの 「スヌーピーの月旅行」 "QUIET AS THE MOON" (Musicmasters 社)。この曲は,「スヌーピーは宇宙飛行士」 のエピソードで出てきたテーマ・メロディーが使われていました。ブルーベックは,ガラルディの曲 『ライナス・アンド・ルーシー』 や 『キャスト・ユア・フェイト・トゥ・ザ・ウィンド(Cast Your Fate to the Wind: この曲は正確にはピーナッツ関係の曲ではないものの,ガラルディの名を世に送り出すメガヒットとなった)』 の演奏の他に,8 つのオリジナル曲とスタンダード・ナンバー 『バイシクル・フォー・トゥ(Bicycle Built for Two)』 と 『星に祈りを(When You Wish Upon a Star)』 の新しいカバー・バージョンを演奏しています。また,これら楽しい音楽とは別に,CDに付いてくるジャケット冊子には 13 ページにわたりテレビ・アニメのセル画がたくさん載せてあり,そして表紙はピーナッツの仲間達全員の素晴らしいカラー画という豪華さです。

JOE COOL'S BLUES (Columbia 社)は,2 枚の CD にしても良いような内容を 1 枚にまとめたものです。全てウィントン・マルサリス・セプテットの演奏による 8 曲は,「ライト兄弟」 と言うミニシリーズのエピソード用のオリジナル 7 曲と超有名なガラルディの 『ライナス・アンド・ルーシー』 のマルサリス版からなっています。あとの 5 曲は -- 全てガラルディ曲の新録音で -- 演奏はウィントンの父であるエリス(Ellis)と彼のトリオ -- ジャーメイン・ベイズル(Germain Bazzle)が最後を威勢のいい 『リトル・バーディー(Little Birdie)』 のヴォーカルで締めくくっています。これらはいずれもすばらしく,全く異なる解釈を提示しながらもガラルディのオリジナルサウンドを思い起こさせるものとなっています。

ウィンダム・ヒル・レコード(Windham Hill)のピアニスト,ジョージ・ウィンストン(George Winston)は,よく 『ライナス・アンド・ルーシー』 をコンサートで演奏していました。彼は,『ライナス・アンド・ルーシー』 を (それ以外も) CD に収録する予定をしていましたが,なかなかできませんでした。しかし,ついに彼は,収録したのです! 1996 年 9 月 17 日発売の LINUS & LUCY : THE MUSIC OF VINCE GUARALDI で ,これは素晴らしいソロ・ピアノ集で,16 のガラルディ曲が収められているうち 11 は多くのピーナッツ・テレビ番組に直接関係するものでした。また,彼は,"Christmas Time Is Here" のソロピアノもレコーディングしており,残念ながら,ウィンダム・ヒルの THE CAROLS OF CHRISTMAS でしか,楽しめません。

ピーナッツファンは 『ライナス・アンド・ルーシー』 が良いと言うだろうが,どうやらガラルディの名を思い浮かべるのに一番の曲は 『クリスマスタイム・イズ・ヒア(Christmas Time Is Here)』 となっているようです。しかし,毎年,新しいアーティストによってカバーされ,今や,最も,ポピュラーなジャズスタンダードになりつつあります。前記の HAPPY ANNIVERSARY CHARLIE BROWN と GRP CHRISTMAS 2 で,パティ・オースティン(Patti Austin) と,そして,コンコード・ジャズ・クリスマス(CONCORD JAZZ CHRISTMAS) の ローズマリー・クルーニー(Rosemary Clooney) がボーカルを務めています。インストゥルメンタル・バージョンでは,デヴィッド・ベノワ (CHRISTMAS TIME),ロン・エシェット(Ron Eschete: CHRISTMAS IMPRESSIONS),テレンス・ブランチャード(Terence Blanchard: SWING INTO CHRISTMAS),そしてジョン・バランタイン(Jon Ballantyne: JUSTIN TIME FOR CHRISTMAS)が,レコーディングをしています。デキシーランドバージョンでは,1993 年リリース,Charlie Bertini, Randy Morris, Dave Gannett 演奏による"CHRISTMAS COOKIES"。これらすべての CD は,11 月あるいは,12 月には,手に入れられるでしょう。

デヴィッド・ベノワは同じアルバムを 2 度レコーディングしています。新盤の方は 1996 年のクリスマス CD, Remembering Christmas として出され,ヴォーカルにマイケル・「パプシクル・トウ」・フランクスが起用されました。実際のところ,この CD は A Charlie Brown Christmas へ特別に捧げられたもので,ベノワが Skating や Christmas Is Coming のカバーをかなり入れ込んでやっているのを見てもそれが分かります。

しばらく前にエリス・マルサリスがナショナル・パブリック・ラジオで毎年恒例になっている 「クリスマス・ジャズ・スペシャル」 という番組で,素敵なインストルメンタルを演奏しましたが,それがついに 2000 年になって CD としてリリースされました(次の質問をご参照下さい)。

しばらく前にエリス・マルサリスがナショナル・パブリック・ラジオで毎年恒例になっている 「クリスマス・ジャズ・スペシャル」 という番組で,素敵なインストルメンタルを演奏しましたが,それがついに 2000 年になって CD としてリリースされました(次の質問をご参照下さい)。

コリン・バージ(Colin Birge)はまた別の発見を知らせてくれました。スチゥ・ハム(Stu Hamm)は,これまでロック・ギタリストのジョー・サトリアーニ(Joe Satriani),スティーヴ・ヴァイ(Steve Vai),そしてエリック・ジョンスン(Eric Johnson)等とかなりのレコーディング・セッションや演奏旅行を共にしてきたベーシストですが,長年にわたって 『ライナス・アンド・ルーシー』 からのメロディーを長々とソロに使っているのです。1991 年のアルバム "The Urge" の中の "Quahogs Anyone?" で聴けます。この曲は,1980 年 カリフォルニアのサンタバーバラでのショーで演奏された長いベースのソロです。この演奏でハムがとりわけ素晴らしかったのは,ベース・ギターソロでリズムとメロディー・ラインを一緒に弾いた事です。二重録音ではないのです。


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